ワールド・プロジェクト・ジャパン  〜 合奏音楽のための国際教育プロダクション 〜


鈴木燿さんの思い出

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2005年11月9日。その夜、私はリッチー・コールと一緒に新大久保にいた。管楽器専門店DAC主催のジャズクリニックを終えて打ち上げていたのだ。

そこへ飛び込んできた突然の訃報。赤坂B flatのマスター杉谷さんが、その朝、急に亡くなられたという。前日までお元気だったそうだ。

じつは新大久保の翌日は、赤坂B flatでリッチー・コールとマイク・プライス・ビッグバンドの共演が予定されていた。突然の衝撃的な知らせに酒宴の空気は一変。ただ、ライブは予定どおり行なわれるとのことだった。

翌11月10日のライブでは、杉谷さんのお気に入りの曲Rhapsody in Blueが、マイク・プライス・ビッグバンドによって追悼演奏された。リッチーは、レナード・バーンスタイン作曲のウエストサイド・ストーリーから「Somewhere」を独奏して杉谷さんに捧げた。

2006年以降は杉谷さんに代わって、B flatオーナーである鈴木さん自らがマスターとして店に立たれることになった。そこから以前にも増して、B flatさんとのお付き合いが深くなり、思い出せるだけでも以下のようなアーティストの公演でお世話になってきた。

Wayne Bergeron
Bobby Shew
Eric Marienthal
Bill Watrous
Bob Sheppard
Hakon Storm
Clay Jenkins
Scott Martin
Francisco Torres
Dan Fornero
Willie Murillo
Sal Lozano
Luis Bonilla
Dick Oatts
Tom Garling
Mike Rocha
Berkeley High School Jazz Ensemble

プロモーターでツアーマネージャーを兼務する私は、アーティストが演奏しているときは、だいたいB flatレジ前のテーブルでCDを販売していた。鈴木マスターの目の前の席である。

だからマスターとはよく話す機会があった。強面でハードボイルドなイメージのある方だけれど、私にはいつもニコニコと話しかけてくださった。大病から復帰された後は、術後の経過を饒舌に語っておられたのが印象的だ。

コロナ禍でお店の経営が厳しくなったときは、クラウドファンディングへの協力を依頼してこられた。海外との往来が難しいこの2年半は当社もビジネスがままならないけれども、広報面で可能な限りご協力することを申し出ていた。

鈴木さんは昨夜交通事故で逝去されたとのこと。突然の訃報に接し、まだ混乱がおさまらない。心からご冥福をお祈りしたい。

鈴木さん、ありがとうございました。

Bobby_SCO_Bflat.jpg
※写真はBobby Shew with 中央大学Swing Crystal Orchestra

投稿者 kurosaka : 2022年9月 2日