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野口茜さんの思い出

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おこじょエクスプレス譜面の隅にあった署名とイラスト

野口茜リアルタイムコメント@ステラジャム2019
野口茜リアルタイムコメント@ステラジャム2018




野口茜トリビュートアルバム ALWAYS WITH ZOO!




出会いは2008年のEric Marienthal日本ツアー。Ericが日大リズムのOBバンドConjunto High Energy(コンフント・ハイエナジー)と共演したとき、スペシャルゲストとして登場したのが野口茜さんでした。Ericとの火を吹くようなバトルプレイに心を打たれたのを鮮烈に覚えています。

以来、連絡を取り合うようになり、多くのゲストアーティストと野口茜グループの共演が実現しました。Clay Jenkins、Bill Watrous、Scott Martin、Bob Sheppard、Hakon Storm、Francisco Torres,Dan Fornero、Willie Murillo、Sal Lozano、Bobby Shew、Luis Bonilla、Dick Oatts、Mike Rochaなど数々の名セッションでご一緒しました。

2016年には赤坂B flatで野口茜トリオとEric Marienthalのライブを収録。CDとしてのリリースも実現しました。

また、私がプロデュースしているステラジャム(国際ジャズオーケストラ・フェスティバル)のテーマ曲「STAR BRIDGE〜星空にかける橋〜」を作曲していただきました。2018年と2019年には、ステラジャム審査員もお願いしています。

野口茜さんと一緒に制作した「STAR BRIDGE」には、いろんな思い出があります。これは、もとは歌詞がついていない器楽曲でした。ステラジャム参加団体が全員で合奏できる楽曲を作ろうと、ラテン(CHA CHA)のオリジナル曲を野口さんに書いてもらったのです。

楽器が手元にない人も参加できるよう、サビの部分にだけ「あしたのあなた あしたのわたし 橋をかけよう 星空こえて」という歌詞を作りました。

ところが実際のフェスティバルで、表彰式のあとに全員で大合奏するには、いったん片付けた楽器をケースから出さなくてはならないし、帰りのバスの時間は迫るしで、思いのほか現場が混乱しました。

それなら完全に「歌」にしてしまおうと、野口さんにお願いして、器楽演奏部分は伴奏として残し、歌メロを付け加えてもらいました。そのメロディに私が歌詞を書いて、歌唱用「STAR BRIDGE」が完成しました。

模範歌唱が必要だと思ったので、蓬-よもぎ-というデュオユニットに依頼したところ、歌詞とメロディはそのままに、伴奏をロック風にアレンジ。それが現在、ステラジャムの会場で繰り返し流れている「STAR BRIDGE」です。

「STAR BRIDGE」は野口茜さん本人のソロピアノによるバラード版もあり、こちらはステラジャム表彰式で得賞歌として使われています。ほかにもラテンピアノアレンジなど、いろんなバージョンが存在します。

そして先述したEric Marienthalとの共演ライブにおいて、Ericはこの曲を素材として縦横無尽な即興演奏を披露。衝撃的な「エリック版STAR BRIDGE」が誕生しました。その演奏はライブアルバムに収録され、ステラジャムではお昼休みのBGMとして流れています。

2018年には、ブラスアイドルグループLOVE JAMMIN'(ラブジャミ)バージョンの「STAR BRIDGE」も生まれ、フェスティバルに華を添えています。

2020年のステラジャムは新型コロナウィルスの影響で中止となり、野口さんは闘病生活を続けておられました。今年(2021年)こそは再開をめざして準備を進めているところです。野口さんにも審査員復帰をお願いして、スケジュールを空けていただいていました。

ところが突然の訃報に接し、大きな喪失感に包まれています。河口湖でまたご一緒できるのを楽しみにしていただけに、惜別の念にたえません。

しかし悲しんでばかりいては野口さんも喜ばないでしょう。これからもSTAR BRIDGEを奏で、歌い継ぎ、アーティスト野口茜が遺した「あかねこワールド」をにぎやかに育てていきたいと思います。

あしたのあなた 
あしたのわたし 
橋をかけよう 
星空こえて

野口茜さん、ステラジャムをずっと見守っていてください。
たくさんのすばらしい音楽をありがとう。


投稿者 kurosaka : 2021年3月30日