ワールド・プロジェクト・ジャパン  〜 合奏音楽のための国際教育プロダクション 〜


年忘れビッグバンド祭り(新大久保DACスペースDO)

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「年忘れビッグバンド祭り」を鑑賞してきた。

ビッグバンドの活動が思うようにできなかったこの2年、楽しみにしていた秋のジャズフェスがことごとく中止となり、アマチュアビッグバンドの演奏の場がなくなった。そこで、ひとつでも多くのビッグバンドが生き残るきっかけになればと制作されたイベントである。

企画運営はSexy Dynamite Jazz Orchestra。ひとつのバンドが発案し、いろんなバンドが呼応する形で、7つの社会人バンドが集まった。そして合計7時間に及ぶ立派なジャズフェスティバルが生まれた。会場は新大久保DACスペースDO。

最初は「とても全部は見られないな」と思っていたのだが、始まってみるとどのバンドもじつに個性的。バラエティに富んだグループが集まったため、飽きることなく最後まで鑑賞することができた。この日のために練習にも気合が入ったのだろう、2年間のブランクがあるとは思えない好演奏の連続だった。

なかでも「6 Floor Jazz Orchestra」は社会人2年目の若手バンド。Maria Schneiderの大曲を高度な演奏技術で披露するなど、社会人ビッグバンドの新しい息吹を感じられた。個々のバンドのプロフィールは末尾にまとめるが、多様な経歴とレパートリーで、音楽的にもエンタテイメント的にも、そして人間ドラマとしてもじつに興味深い内容だった。

7時間のコンサートに、みんなが「喜び」を感じている。出演者も、聴衆も、コンサートを作り上げるスタッフまでも、全員が「生音を共有し合う嬉しさ」を噛みしめている。それが会場の空気として渦巻いているのだ。

私自身かれこれ30年あまり、多くの国際音楽祭やジャズフェスティバル、音楽ツアーを制作してきたので、このコンサートを実施する苦労がどれほどか生々しく察することができる。素人の手作りイベントというレベルをはるかに超えた、感動的なライブに仕上がっていた。2年間にわたるパンデミックで圧縮された創作エネルギーが解放され、昇華されたのだろう。

イベントをプロデュースしたSexy Dynamite Jazz Orchestraに対しては、すべての参加バンドが感謝の言葉を送っていた。私たち観客も心からお礼を言いたい。お疲れさま、ありがとう、そしておめでとうと繰り返し述べて、その成功を称えたい。


【出演バンドと曲目一覧】
●Sexy Dynamite Jazz Orchestra
言わずと知れたこのイベントの言い出しっぺ。オリジナル曲も多く「セクシーでダイナミック」を合言葉に、美しく力強いアンサンブルを目指しています。2年弱続く禍中でも、スタジオ練習をお休みしたのは2か月だけという、一風変わったグループです。昨日の自分より今日の自分は成長しよう!とかなんとか真剣に取り組む、いい大人。七転び八起きで、逆境をパワーに変えて、今日も楽しい演奏をお届けします。ビッグバンドはエンターテイメント!

1.Autumn Leaves (arr.貫田重夫)
2.Happy Boy's From Ipanema (arr.川村裕司)
3.Pink Shrimp   (arr.松木理三郎)
4.Easy Living   (arr.貫田重夫)
5.星の遠足   (arr.松木理三郎)
6.A Night Sky After The Rain (arr.松木理三郎)

●OTOlab Big Band
私達のバンドは杉並区中心に活動している社会人ビッグバンドです。比較的シンプルな譜面を演奏しています。今年からは更に可能性も広げるべく、ボーカルも入れて練習してきました。このイベントに参加できてとても光栄です。非常に緩いバンドですが、日頃の練習の成果を存分に発揮できるよう精一杯頑張ります!

1.A Little Blues, Please (arr.Sammy Nestico)
2.Loose change (arr.Sammy Nestico)
3.Softly From My Window (arr.Sammy Nestico)
4.Caravan (arr.Michael Sweeney)
5.Take The A Train (arr.Victor Lopez)
6.Save The Last Dance For Me (arr.Scott Ragsdale)
7.Crazy Little Thing Called Love (arr.Roger Holmes)

●LSOP
LSOPは、都立小石川高校軽音楽研究会のOBを中心に1975年8月に結成されました。現在は卒業生以外のメンバーも多数加わり、夏合宿、定期演奏会(いずれもコロナ禍のため休止中)、音楽イベントへの参加などの活動を続けています。ビッグバンドの出演するイベントが次々と中止に追い込まれていく中、本イベントを企画して頂いたSexy Dynamite Jazz Orchestra様には心より感謝申し上げます。10月に入り、コロナはようやく一旦落ち着きをみせていますが、社会的に厳しい状況や、音楽に携わる人々への影響はこれからもまだしばらくの間続くと思われます。しかし、逆境のときこそ踏ん張れです! 雨ニモマケズ、風ニモマケズ、コロナにも負けず、一緒にこの苦境に打ち勝っていきましょう!!

1.Begin The Beguine (arr.Bill Holman)
2.Totem Pole (arr.Bill Warfield)
3.It Could Happen To You (arr.Mike Crotty)
4.Tones For Joan's Bones (arr.Duke Peason)
5.On The Sunny Side Of The Street (arr.John Clayton)
6.Samba Quente (arr.Brian Williams)


●6 floor Jazz Orchestra
6 Floor Jazz Orchestraは、慶應ライト・早稲田ハイソ・明治BSなどの学バンOBOGで結成されたビッグバンドです。2017年、大学2年時に同期バンドとして発足。学園祭などへの出演を重ね、2020年2月にはワンマンライブも開催しました。Maria Schneiderなどのコンテンポラリーナンバーを得意としています。メンバーは全員、現在社会人2年目。私たちが大学を卒業したのは、コロナウイルスが猛威を振るい始めた2020年3月。学生生活の集大成となるはずだった4年生のリサイタルの機会を失いました。頭では仕方のないことだと理解しながらも、やり場のない怒り・悔しさを抱えての引退でした。メンバーの大半が社会人となってからも、演奏の機会を作ることができない日々が続きました。このイベントをきっかけに活動を再開させ、継続的な活動を復活させる第一歩にしたいと考えております。必ず会場を盛り上げてみせます!

1.I'll Never Smile Again (arr.Y.Kitagawa)
2.Choro Dançado (arr.Maria Schneider)
3.Don't Be Evil (arr.Maria Schneider)
4.Maiden Voyage Medley (arr.Miho Hazama)

●MF Tribute Band(改め Pretty Bomber Jazz Orchestra)
トランぺッター『メイナード・ファーガソン』の曲だけを演奏するバンドとして2005年に発足いたしました。ファーガソン本人に公認されたバンドとして横浜を拠点にこれまで都内や札幌などでも演奏活動を行っております。自分達が楽しむことはもちろん、難しいことは抜きに聴いて楽しんでいただけるバンドを目指している自称"癒し系"バンドです。コロナ禍で元気を失った社会人ビックバンド界が、少しでも盛り上がるよう願って参加させていただきました。オヤジ達の奏でる癒し系サウンドをお楽しみください!!

1.Get It To Go (arr.Glenn Kostur)
2.A Night In Tunisia (arr.Denis Diblasio)
3.Gabriel (arr.Nick Lane)
4.Dance To Your Heart (arr.Nick Lane)
5.Left Bank Express (arr.Pete Jackson)

●S.O.L.A.
バンド名は映画「スウィングガールズ」(以下SG)の2004年末の「ファースト&ラストコンサート」で上野樹里さんがつぶやいたひとこと(「さびしくなったら空を見上げてください」)がネタモト...というくらい、SGに感動しまくった男女で結成されたスウィングJAZZ Bigband。セリフを暗記したメンバーも多数。高校生(当時)だった元リーダーが作成したSGウェブサイトで知り合って結成。メンバーは全国津々浦々に存在している。横浜ジャズプロムナードには2009年から参加。映画をきっかけに楽器を始めたメンバー、十数年ぶりに楽器を再開したメンバーも多数。腕はともかく楽しく演奏することにかけては世界一!という誇りをもって、ステージに上ります。という感じの、Swing Girlsのコピーバンドです。

1.Make Her mine (arr.岸本ひろし)
2.Blue skies Short Ver. (arr.前田憲男)
3.Take The "A"Train (arr.岸本ひろし)
4.Up Tight (arr.岸本ひろし)
5.In The Mood (arr.岸本ひろし)
6.茶色の小瓶 (arr.服部克久)
7.Over The Rainow (arr.岸本ひろし)
8.Moonlight serenade (arr.岸本ひろし)
9.Mexican Flyer (arr.岸本ひろし)
10.Sing-Sing-Sing (arr.岸本ひろし)
11.What A Wonderful World (arr.はぐれ雲永松)
12.L-O-V-E (arr.Roger Holmes) → 時間が足りず割愛
13.Blue skies Short Ver. (arr.前田憲男)

●TRJO508
「TRJO508」は2010年に関西学院大学 軽音楽部「KG Swing Charioteers」の卒業OBOGが中心となり結成された社会人ビッグバンドです。音楽は楽しくなければなりません。演奏する私達も、それを聞く方々も共に楽しく、ワクワクするような音楽、「エンターテインメント性溢れるご機嫌な演奏とステージを」目指します。そして演奏する曲は「ビッグバンドジャズの王道」というコンセプトのもと、活動を続けています。コロナ禍の中、世の中全体が活動縮小や停止せざるを得ない局面にぶつかっており、音楽活動も例外ではありません。
我々TRJOも昨年3月より活動をいったん中止し、先の見えない時期を過ごしていました。しかし多くの仲間や、音楽を愛する方々からの励ましと、社会人として末永く音楽とともに生きてゆこうとするメンバーの為にも、バンドの火を消してはいけないという強い気持ちで、昨年11月から活動を再開させました。いまだに出口が見えない世の中で、逆風が強くなったりし、各種外部イベントが中止される中、同じ思いを抱きながら、まっとうに活動している「同志バンド」との絆を深めるいい機会となれば素晴らしいと思います。

1.The Opener (arr.Carl Strommen)
2.Ms.Garvey.Ms.Garvey (arr.Jason Marshall)
3.There is no greater love (arr.Eric Richards)
4.Count on the blues (arr.Andy Classen)
5.All of me (arr.Lennie Niehaus)
6.Just Friens (arr.Sammy Nestico)
7.I can't stop loving you (arr.Marty Paich)

投稿者 kurosaka : 2021年12月12日