ワールド・プロジェクト・ジャパン  〜 合奏音楽のための国際教育プロダクション 〜


シリーズ:吹奏楽デモクラシー

  • Check

シリーズ:吹奏楽デモクラシー
4.そこは雪国: 対談 旭川商業高校吹奏楽部顧問・佐藤淳(上巻)
3.もやもや: 対談 テューバ奏者・石川佳秀
2.生徒第一主義: 対談 吹奏楽指導者・山﨑朋生(下巻)
1.良き模範: 対談 吹奏楽指導者・山﨑朋生(上巻)








4.そこは雪国: 対談 旭川商業高校吹奏楽部顧問・佐藤淳(上巻)
バジル・クリッツァー (著), 佐藤淳 (その他)



本巻は、シリーズ『吹奏楽デモクラシー』初の、現役吹奏楽部顧問の登場となった。しかも北海道を代表する指導者である、旭川商業高校吹奏楽部の佐藤淳氏だ。

佐藤氏は、汗・涙・血と努力の昭和の時代からデジタルワールド化しつつある令和の現在まで吹奏楽指導に従事、奔走してきている。

その指導活動は勤務校における吹奏楽コンクールでの数多くの優れた結果や旭川商業高校吹奏楽部の日本全国をまたにかけた演奏活動でも知られているが、旭川から札幌や釧路、網走など北海道の隅々に電車や車で出向いていって数多くの学校吹奏楽部を指導・サポートしておられるところこそが、本シリーズで対談をお願いした所以である。

本巻では主に旭川商業高校に赴任するまでの佐藤氏の音楽人生と指導生活の前半期について話を伺った。ここからはひとりの青年の瑞々しい感性と、もがき苦しむ自己形成の物語が浮かび上がる。

自身の経験、失敗、感情を包み隠さず総括し語ること。それをしてくれる有名指導者のお話は本シリーズから吹奏楽指導のヒントや教訓を学び取ろうとする読者にとっては、願ってもない材料となるのではないだろうか。

また、書き下ろしエッセイでは呼吸そして指導法についても具体的な内容を述べている。場面限定的なノウハウではなく、発想の基本を提供しようとしたものである。ぜひ役立てて頂きたい。







3.もやもや: 対談 テューバ奏者・石川佳秀
バジル・クリッツァー (著), 石川佳秀 (その他)



もやもや。

これはもしかしたら、青少年期には誰にでもあるごくありふれたことかもしれない。

しかし、それが何年も、ときには10年も続くことがあるとは、誰かと話していて話題になったことはないし、テレビでそんなことが語られることも聞いた記憶がない。

でも、嫌になるほど、あるいは自分でも恥ずかしくなるほど長期間続いて如何ともしがたいままもやもやした時間が何年も月日が重ねられていくことも、実は非常にありふれているのではないか、とわたしは思う。

この巻では、テューバ奏者で吹奏楽指導者の石川佳秀さんがご自身のもやもやとそこから抜け出す旅路を包み隠さずお話下さっている。わたしも若いときもやもやに苦しんだので、同じように苦しみ、かつ長い時間を経てそれでも抜け出して立派に人生を紡ぐことができている人と対話できてとても嬉しい気持ちになった。

人はもやもやするものだ。これを、『成長につながる苦しみ』と安易に美化するのは良くないと感じる。美化は放置の正当化につながる。必要なのは、助けや支えだ。気合が足りない、勇気が足りない、自信が足りない、努力が足りない、我慢が足りない。そうやって断じるのも助けや支えを申し出ないことを正当化しているだけだ。

もやもやについて、ぜひ語り合おう。







2.生徒第一主義: 対談 吹奏楽指導者・山﨑朋生(下巻)
バジル・クリッツァー (著), 山﨑朋生 (その他)



『吹奏楽デモクラシー』シリーズ2作目の今巻は、「生徒第一主義」と題した。

これは、日本吹奏楽界の宿痾ともいえる「吹奏楽コンクール第一主義」あるいは「勝利至上主義」と対照的なものといえる。しかし、生徒第一主義はコンクールへの出場や代表あるいは金賞の獲得ということと対極の関係でもトレードオフの関係でもない。

前巻に引き続き対談してお話を伺った吹奏楽指導者・山﨑朋生氏は、事実いくつもの全国出場有名吹奏楽部の指導に長年携わっておられる。

生徒第一主義とは、

・生徒ひとりひとりの成長
・生徒ひとりひとりの上達
・生徒ひとりひとりの自己実現

を助け、促し、それに貢献することを指導者としての使命とし評価軸とすることである。

したがって、生徒第一主義は、自然とコンクールの結果にもポジティブに作用しうるのだ。・・・生徒ひとりひとりに我慢や犠牲を強いて指導者の思い描く音楽を強権的かつ人工的に作り込んでいく方式で結果を出すことに依存していなければ。

集団の達成のために、音楽を愛する子供や愛好家が屈服させられることは、良くないことだ。その至極当たり前をただ述べるだけの今巻とも言える。

ただし、これは批判を目的とはしていない。
生徒第一主義を実践したい方々のための書である。








1.良き模範: 対談 吹奏楽指導者・山﨑朋生(上巻)
バジル・クリッツァー (著), 山﨑朋生 (その他)



このシリーズの記念すべき最初の本では、吹奏楽指導者でトロンボーン奏者の山﨑朋生氏に話を聞いた。

氏とは、アレクサンダーテクニークの学習の場で出会ったのであるが、トロンボーン奏者としての端正で正統的な演奏とともに、関東のいくつもの超有名吹奏楽部で指導者やコーチを務めているにも関わらず、『金賞以外は無価値。なんならプロの演奏より全国吹奏楽コンクールの勝者の演奏の方が良いと思っている感』を醸し出す『吹奏楽関係者』の印象(わたしの偏見であるが)をまったく感じさせないところにとても興味を持ったのを良く覚えている。

数年に及ぶ付き合いのなかで、山﨑氏が学生や吹奏楽部の顧問の先生方に非常に信頼され愛されていることも分かってきたし、対談でも出てくる話だが、吹奏楽部の活動において本当に必要とされるニーズに丁寧に応え活動をサポートされている様子を見るにつけて、大きな感銘を受けていた。

生徒は指揮者や指導者の駒ではないー。

コンクールの結果より音楽の楽しさや素晴らしさを実感する方が大切だー。

このような、当たり前のことすらバカにされることもある学校吹奏楽界には歪みがあるのは確かだが、一方でこの当たり前に共感し実践しようとする教員、指導者も数多い。

この本がそういう方々の助けになることを願う。

投稿者 kurosaka : 2020年7月21日