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水の呼吸シリーズ

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INDEX

刊行順に番号が付いていますけれども、各巻独立した読み切り作品です。ご興味に応じて、どこからでも読み始めることができます。


著者:黒坂洋介

025.ハミングバード
024.呼吸劇場
023.空息域
022.リネームしなけりゃ意味ないね
021.むすんでひらいて
020.水が歩く
019.肋骨が踊りだす
018.重力の滝に打たれて
017.ウォームアップ
016.底式呼吸
015.風と凪
014.水と呼吸の王国
013.入眠呼吸
012.主客転倒
011.ヒフミフヒ
010.十二節
009.腹式呼吸は四種類ある
008.トマト呼吸法
007.閉吸開呼
006.くらげ呼吸法
005.鳥を見た
004.ガティング
003.守破離
002.キメラダンス
001.罪深き恋の呼吸法
呼吸研修テキスト






025.ハミングバード

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ハミングバード〜音の呼吸でひびきあう〜
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本書のテーマは「音」である。呼吸に音を乗せることで身体の調子を整える、あるいは意識状態を変化させるなど、音を使った呼吸法の世界をご紹介している。

代表的なものとしてハミングがあげられる。ハミングは「鼻歌」と訳され、口を閉じ鼻に声を抜いて歌うことを意味するのが一般的だ。

しかし humming の原義は、ハチなど昆虫がブンブン音を立てる、機械がブーンと音を立てるなどである。ハチと似た羽音を立てるため「ハチドリ」と名付けられた鳥を、英語ではハミングバード(Hummingbird)と呼ぶ。

呼吸音について、本書ではいろんな角度から考察を加える。音をどこで出すか、どこに響かせるか、その音をどう利用するかなどだ。

実際、さまざまな選択が可能である。声帯を使うか使わないか、響かせる場所は鼻腔か口腔か、外部音源を使うか、倍音に着目するかなど、採るべき道は多くに枝分かれする。

その中でどれを選べばよいか、初心者にもわかりやすいよう、いくつかのモデルエクササイズを示してある。

また外部音源、つまりなにかを聞きながら、あるいはなにかと合わせながらハミングする方法についても、興味深い事例をご紹介している。

ゴールとしては、「サイレントハミング」つまり無音のハミングによる、絶対静寂の世界へ至ることをめざす。と言っても、けっして難しい話ではなく、通常の呼吸法練習の内容をゆたかにするものとご理解いただきたい。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。







024.呼吸劇場
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呼吸劇場〜無条件にゆるす〜
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本書は『風と凪』の続編である。呼吸による意識デザインがテーマとなる。

水の呼吸シリーズ各巻はそれぞれが独立していて、どこから読んでも理解できる構成となっている。しかし本書については、『風と凪』を先にお読みいただきたい。「場意識と像意識」「外垂芯吊」「ステイト変換」などの基本知識があることを前提に、より進んだ内容を解説しているからだ。

『風と凪』では、まず場意識を整えるために、呼吸法を使って「平凪」を体験した。そして像意識デザインの基本として、外垂芯吊を練習した。

さらに、モーツァルトを聴いているときの感動を、モーツァルトを聴かないで作り出す意識デザインについて触れた。また、身体を貫く芯を、伸ばしたり、光度を変えたり、色をつけたり、香りや味や音を加えたりするトレーニングを試みた。

本書では、より緻密な意識デザインの方法を紹介する。そして、前著で予告した「芯の形、太さ、動き、温度、質感などを変化させる」練習にも取り組む。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。






023.空息域
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空息域〜大切なのは吸いか吐きか〜
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本書の副題は「大切なのは吸いか吐きか」である。いきなり私なりの結論を言ってしまうと、それは「満息域と空息域で逆転する」となる。

そもそも「大切」とは何かについても、定義が必要だろう。それが、より注意を向けるべきという意味なら、満息域では吸気が、空息域では呼気が大切だと言ってよい。

では満息域とは、そして空息域とは何か。それを本編でくわしく解説する。さらにそれぞれの息域を開発するいくつかの方法についても述べる。

代表的な開発法がアサコ(残気量を変える)、フカコ(換気量を変える)、ナガコ(換気時間を変える)の3種類である。

さらに、呼吸の「深さ」と「長さ」を連動させないで自由に操作する「罪深き恋の呼吸法」「夜長浅き夢の呼吸法」も紹介する。

これらの方法の基本は、既刊の書籍や神保町「呼吸学校」において解説してきた。本書ではさらに踏み込んだ未発表バリエーションも披露する。


わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。







022.リネームしなけりゃ意味ないね
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リネームしなけりゃ意味ないね〜世界は名前を待っている〜
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水の呼吸には、背骨を左右に動かすワークがある。魚が泳ぐときの背骨の動きに似ていることから「フィッシュスイム」と名前をつけている。これを「背骨左右振揺」と呼ぶこともできる。しかし両呼称の間には大きな違いがある。

その運動はフィッシュスイムと呼ばれることで、「魚」「水」「柔らかい」「みずみずしい」「ピチピチ」「スイスイ」「力強い」「心地よい」「広々した」「悠々と」などの意味世界につながるからだ。

トレーニングに使用する言語の影響は、一般に考えられているよりも大きい。その名称を長期にわたって使い続けるなら、その差はどんどん広がる。

だから既存のネーミングが有効でない場合は、名付け直しが必要と考える。それを私はリネーム(rename)と呼んでいる。

たとえば「腹式呼吸」という呼称ひとつとっても、人によってその意味が微妙に、あるいは大きく異る。

したがって、トレーニング体系をデザインするにあたって、個々のワークや概念をひとつひとつリネームする必要があると考えた。

そして、チャイルドタイム、ショルダリング、ボトミング、ヒフミフヒ、SOシフト、くらげ呼吸法、トマト呼吸法、外柔芯剛、外垂芯吊、キメラダンス、ツインスター、満息域、空息域、アサコ、フカコ、ナガコ、みちなぎ、ひらなぎ、からなぎ、ふくまま、へこまま、マジックコイン、腰要、ヤイチなど、多くの専門用語が生まれた。

リネームは、ただ名札を付け替える作業ではない。それは「位置づけ直し」のプロセスでもある。混乱した情報に秩序を与え、差異を明確にし、イメージを与え、記憶に定着させる。名前を変えることで、世界はこれまでと異なる様相を呈し始めるのだ。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。







021.むすんでひらいて
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むすんでひらいて〜呼吸するたび世界は変わる〜
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呼吸法において特筆すべきは、それが「正反対の動作」を交互にくり返す往復運動であることだ。吸いと吐きは、コペルニクス的転回と言ってよいほど、何から何までまったく逆の世界である。

また、肺内の空気量が少ない「空息域」と、残気量が多い「満息域」とでは、吸気の仕方が異なる。もちろん呼気についても同様の現象が生じる。

つまり呼吸動作全体において、身体の使い方は時々刻々と変化しているのだ。細かく観察すれば、一回一回の呼吸も内容が違うことに気づく。

これが呼吸の「無常性」である。

無常と言えば、『平家物語』冒頭の一節が有名である。そこで表現されるのは、栄華を極めた権力者が没落してゆく姿であり、なにごとも移ろいゆく儚さだ。

しかし、呼吸法トレーニングを通じて出会う無常は、きわめて高速に展開するものだ。マクロにもミクロにも、一瞬一瞬に変化が連続する、いわば「動的無常」である。

呼吸の無常性については、水の呼吸シリーズにおいても、いろんな角度から触れてきた。たとえば『守破離〜学習の進化論〜』『鳥を見た〜4つの視点で呼吸を読み解く〜』『閉吸開呼〜忘れられた秘法〜』などがそれにあたる。

本書ではさらに踏み込んで、動的無常そのものについて考察を試みる。ある局面では肯定されたものが別の局面で否定されるのはなぜか、一度学んだルールをなぜ捨てる必要があるのか、など興味深いトピックを扱う。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。






020.水が歩く
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水が歩く〜ウォーキング3つの秘密〜
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ウォークは楽しい。もし快適に歩けるなら、その楽しさは一層ふくらむ。水の呼吸では、水をお手本にした歩きを探求している。水が流れるように歩くのだ。

そのためには、呼吸と同じように「立ち方」が基本となる。重力と骨格の関係を調整し、無理のない入力・脱力を行なうためである。

合理的な立ち方を身につけたうえで、


1.ニュースペーパー
2.キトロ
3.ウィッピング


という「歩きの3原理」に取り組む。本書では、それらをひとつずつ解説する。

歩行はふつうに考えるよりも難しい運動である。今回は、上手に歩くための基礎理論にしぼって考察したい。「神保町・呼吸学校」の補助教材として使えるようにも配慮している。

詳細な練習ステップについては、機会をあらためて紹介する。とはいえ、勘のいい人であれば、本書の情報だけで、歩きが大幅に改善する可能性がある。特に「ニュースペーパー」は、多くの人がすぐに使える基本テクニックである。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。






019.肋骨が踊りだす
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肋骨が踊りだす〜蝶とカエルと孔雀のチャチャチャ〜
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呼吸に関係する主要な筋肉は、背骨に付着している。そのため、水の呼吸では背骨を左右や前後に動かし、あるいは回転させ、それらの動きを組み合わせる練習を行なう。その詳細は、本シリーズの『キメラダンス〜呼吸を操作しない呼吸法〜』で解説した。

背骨がある程度動かせるようになったら、肋骨の開発にも取り組みたい。そこには呼吸の主役である「肺」が格納されており、肋骨の自由度が呼吸の質を決定するからだ。

私たちは日常生活において、肋骨をあまり動かさない。それを固まった箱のように使ってしまいがちだ。けれども構造的に見れば、肋骨にはたくさんの関節や筋肉群が存在し、多様に動かせることがわかる。

本書で紹介する「バタフライ」、「フロッグ」、「ピーコック」などは、慣れないうちはかなり奇異な動きに思われるだろう。そもそも肋骨をどうやって動かしていいかわからないはずだ。

あまり難しく考えないで、童心に帰って遊ぶように取り組まれるとよい。肋骨が少しでも動き始めると、その気持ち良さが実感されると思う。肩こりは内側からほぐれ、首まわりや脇腹が楽になり、当然ながら呼吸も深くなる。

本書後半では、呼吸法と組み合わせた練習にも触れるので、これもご活用いただければ幸いである。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。







018.重力の滝に打たれて
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重力の滝に打たれて〜呼吸が深まる立ち方〜
https://amzn.to/3SguVIq


私たちはつねに滝行と取り組んでいる。重力という見えない滝に打たれている。それがあまりにも常態化しているため、重力による「水圧」を感じないだけだ。

滝に打たれることを想像すれば、立ち方のポジションがいかに大切か理解できる。少し斜めに立つだけで、水流は容赦なく身体を押しつぶそうとする。

立ち方のわずかな違いが、滝の中では大きなハンディキャップとなり、アドバンテージとなる。

同じことが重力という滝についても言える。立ち方がよければ持っている能力をいかんなく発揮できるけれど、不利な立ち方をしているために、重力との戦いでエネルギーロスする。

立ち方を学び、練習を重ねると、立ち方にはスイートスポットがあることに気づく。重力という「水圧」を、最小限にしか受けない絶妙のポジションがあるのだ。

この立ち方を経験した瞬間、思わず「あっ」と叫びたくなる感激が走る。

本書は、あらゆる身体運動の基本である「立ち方」を、呼吸法と関連付けながら考えるものである。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。







017.ウォームアップ
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ウォームアップ〜呼吸法にできる5つのこと〜
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ウォームアップは、準備運動を意味する。たとえばスポーツの練習や試合に向けて、最適な状態を作り出す目的で行なわれる。楽器演奏や歌唱においても、パフォーマンスレベルを上げるためにウォームアップは重視される。

一般にウォームアップは、全身の血行を改善することで、「冷えて固い」身体を「温かく柔らかい」状態に変化させる。呼吸法と組み合わせて行なうことで、血中へ酸素を積極的に取り入れることもできる。

身体状態が変わることは、心理にも影響を及ぼす。活力、やる気、闘気を高める効果が期待できる。身体的ウォームアップは、心理的ウォームアップにもなるのだ。

心身を温める「ウォームアップ」に加えて、明晰な判断力を導く「クリアアップ」、ゆるぎない自信をもたらす「スティルアップ」を合わせて行なうことで、さらにレベルの高い準備が整う。呼吸法はそれらをつなぐ強力な手段となる。

本書では、呼吸学校で紹介している5つの基本ワークを、上記の「3アップ」と関連付けながら解説してゆく。


1.チャイルドタイム(心身を落ち着ける)
2.ショルダリング(肩まわりをほぐす)
3.フィッシュスイム(背骨まわりをほぐす)
4.ボトミング(骨盤底筋群をめざめさせる)
5.ヒフミフヒ(呼吸筋群をめざめさせる)

また、アップ効果を高める以下2つの上級ワークについても説明する。

6.SOシフト(主客転倒による運動の高度化)
7.MOT(呼吸筋群を強化する)


わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。






016.底式呼吸
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底式呼吸〜骨盤底に眠る獅子〜
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荘子に、以下の言葉がある。

真人の息は踵(くびす)を以てし
衆人の息は喉(のど)を以てす

踵はカカトのこと。普通の人は喉のあたりで浅い呼吸をするが、すぐれた人はカカトまで吸うように深い呼吸をするという意味だ。気功には「足裏から息を吸い上げる」呼吸法もある。

トランペット奏者のメイナード・ファーガソンは、講習会で「太ももまで息を吸いなさい」と言った。背骨から両脚を吊るような構造の大腰筋は、大腿骨上部に付着している。そのため息を深く吸ったときに、太ももの付け根あたりに刺激を感じる場合があるのだ。

腹式呼吸が推奨される大きな理由のひとつは、深く息を吸うことである。ファーガソンは腹を越えて太ももまで息を吸い、荘子にいたっては踵まで動員する。身体性を極めてたどり着いた境地、それが脚式(きゃくしき)呼吸であり踵式(しょうしき)呼吸だろう。

本書で取り組むのは、胴体「底」の筋肉群を操作する、いわば底式(ていしき)呼吸だ。これもまた、腹式を越えた深い呼吸を得るための技術である。脚式や踵式とは別系統のトレーニングだが、ヨーガ、座禅、気功にも見られる伝統的な身体操作だ。

底式呼吸の奥深さ、可能性の広がりなど、その魅力を存分に味わっていただきたい。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。






015.風と凪
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風と凪〜呼吸による意識デザイン〜
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意識はデザインできる。しかし意識は見えないし、触れることもできない。とらえどころのない意識なるものを、どうやってデザインするのか。

人類は意識というテーマに向き合い、そのアプローチをさまざまな形で記録に残してきた。ヨーガ、禅、気功、瞑想、哲学、宗教、生物学、医学、心理学など、各分野で表現に違いはあるものの、意識には構造があり、操作が可能であることがわかる。

ここでは「意識」と呼んでいるが、同様のものを表現する言葉はたくさん存在する。心、精神、意思、意志、意図、思考、想像、空想、思い、考え、思想、思惟、観念、構想、アイデア、印象、感じ、気分、記憶、イメージ、フィーリング、メンタル、主観、感情、感動、情動、認識、自覚、知覚、感覚などなど。

さらに、意識、前意識、無意識、顕在意識、潜在意識、超意識、中心意識、周辺意識、上意識、下意識、末那識、阿頼耶識、現象的意識、メタ認知、コスト意識、プロ意識など、多種多様な分類や用語が存在する。

分野によって、文脈によって、あるいは個人の言語センスによって、それらは独自の意味とニュアンスを持つ。本書ではそれらの総称を「意識」と呼んでいる。そして意識を自身の計画に基づいて望みの形状、運動、質感などに導くことを「デザイン」と表現している。

意識デザインはきわめて大きなテーマであり、一度にすべてを語り尽くすことはできない。ここでは、呼吸法との関係において、意識の状態(ステイト)をどのように調整するかについて、可能な限り論理的に解説することを試みた。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。






014.水と呼吸の王国
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水と呼吸の王国〜身体はテーマパーク〜
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私たちは、水と呼吸で生きている。生命維持に大切なものは何かと問われれば、筆頭に来るのは呼吸であり、2番目が水である。動物はもとより植物も、水と呼吸なくして生きることは不可能だ。

私が呼吸法を学び始めたきっかけは、トランペット奏者のメイナード・ファーガソンである。1990年代初め、私は音楽プロモーターとしてファーガソン楽団と一緒に日本ツアーをしていた。

ある日の公演前、夕食を終えたメイナードが、私に向かってこう言った。「地球上に暮らす人類の95%が正しい呼吸をしていない。私が歳をとってからもこうして元気でツアーができるのは、インドのヨーギに習った呼吸法のおかげさ」と。

当時のメイナードは60代前半だったから、それほど高齢とは言えない。しかし彼の言葉は、30代になったばかりの私にとって印象深く、呼吸法に強く興味を覚えた。

それから私の呼吸法研究が始まった。道場に入門し、セミナーへ通い、書籍やビデオを通じて、ヨーガ、気功、運動科学などさまざまな呼吸法を学んだ。その多くにおいて出会ったキーワードが「水」である。液体としての身体を感じろ、水になれ、と。こうして私の関心は、「水」と「呼吸」に向かい始めた。

2000年頃から、友人・知人らとともに呼吸法勉強会を始め、メソッドには「ウォーター&ブレス」と名付けた。その日本語名が「水の呼吸」というわけだ。

水の呼吸シリーズ各書籍では、個々のワークや考え方について解説している。いわば各論である。しかし本書においては、「水の呼吸」の全体像を描き出してみたい。

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013.入眠呼吸
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入眠呼吸〜20分の良質な休息〜
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現代社会のストレスからか、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害などを覚える人は少なくないという。それらの「睡眠障害」に対して、良質な睡眠を得るさまざまな方法が研究されている。

コーネル大学の社会心理学者ジェイムズ・マースによって提唱された「パワーナップ」は、15〜30分程度の仮眠である。時間あたりの効用を最大化する睡眠法とされる。これは一日に必要な睡眠時間を分割して取る多相睡眠であり、睡眠不足を補う効果があるとか。

呼吸法もまた睡眠と深く関わっている。スムーズに眠りへ誘う導入法として有名なものに、アリゾナ大学のアンドルー・ワイルが提唱した「4-7-8呼吸法」がある。

水の呼吸では、「水の質感」を用いて熟眠へ誘導する呼吸プログラムが用意されている。本書においては仮眠を素材として、高品質かつ効果的な入眠法について考察してみたい。

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012.主客転倒
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主客転倒〜呼吸が根底から変わる〜
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アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念に「フロー」がある。そのときやっていることへ完全にひたりきり、すべてがうまくいっていると感じる精神状態である。

スポーツ世界では、集中力が極限まで高まったとき、周囲の景色や音が意識から消えるという。この状態を「ゾーンに入る」と表現する。究極のフロー状態がゾーンであるとする場合もある。

東洋的修行法においては、意図的にゾーンへ到る技法が追求されてきた。ヨーガ、密教、禅、神道でさまざまなアプローチが試みられ、それは武術、能、茶、書、華など諸芸に大きな影響を与えたとされる。

呼吸法においても、この種の体験に至ることがある。とかく神秘化されがちなこの現象を、水の呼吸では「主客転倒」が起きていると考え、これをSOシフトと呼ぶ。

いったんそれが理解できると、スポーツ、武術、各種教典で伝えられる超絶体験や常識を超えた逸話が、我々の暮らす日常と地続きであることに気づく。

本書では一歩ずつ段階を踏まえ、主客が転倒した不思議な呼吸世界について、可能な限り論理的に解説したいと思う。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。






011.ヒフミフヒ
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ヒフミフヒ〜呼吸法の初級から上級へ〜
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呼吸学校で実習する基本の呼吸法は「ヒフミフヒ」である。呼吸の長さを1小節(4拍)から2小節(8拍)、3小節(12拍)と伸ばしていき、そこからまた2小節、1小節と短くする。テンポは46なので、1セットは約2分間となる。

短い呼吸から長い呼吸へ変化し、また短い呼吸に戻るので、身体への負荷が小さい。初心者にも取り組みやすい方法だ。ウォーミングアップや気分転換など、さまざまな場面で使い勝手がいい。

しかしこのシンプルな呼吸法に、トレーニング項目を追加することで、どんどん高度なメソッドになっていく。本書では、ヒフミフヒの初級から上級までをご紹介する。読者には呼吸法の奥深いゆたかさを、たっぷり味わっていただくことになる。

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010.十二節
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十二節〜同調圧力を受け流す呼吸法〜
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呼吸は心理状態に大きな影響を及ぼす。心理もまた呼吸を左右する。両者の間には自律神経が介在している。

自律神経は不随意的な神経系であり、循環、消化、発汗、体温調節、内分泌、生殖、代謝、呼吸などを制御する。闘争か逃走か(fight or flight)に総称される恐怖心との関連が深い。

無意識の呼吸も自律神経の管轄下にある。しかしながら、呼吸は意識的に行なうことができる。そのため呼吸を操作して自律神経に働きかけ、心を操作できることに人類は気づいた。かくして呼吸法が各方面で研究されてきたのである。

とりわけ武術において心身のコントロールは生死を分けるため、不動心や平常心が重視され、これを獲得する技術が探求されてきた。丹田と呼ばれる下腹部の装置が大切にされるのも、この文脈に位置づけられる。

本書では、丹田と並んで心理操作に大きな役割を果たす「身体の芯」について考える。芯もまた意識のあり方と深く関わる。身体に芯を確立して不動心を身につけた先人に学び、その現代的トレーニング法を整理したい。

荘子にいわく「君子の交わりは淡きこと水の如し、 小人の交わりは甘きこと醴の如し」。立派な人物の交際は水のようだが、つまらない人の交際は甘酒のようにベタベタしている、という意味だ。

絆や仲間意識が強調され、強い同調圧力がかかる日本社会において、自らの道を歩むために心の護衛手段を持つことは重要である。他者の影響を最小限にとどめ、和して同ぜずの境地に至る。身体に確固たる芯を立てる技法が、その一助となれば幸いである。

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009.腹式呼吸は四種類ある
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腹式呼吸は四種類ある〜指を見るな月を見ろ〜
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腹式呼吸には四種類ある。この主張に対する反応は二分されるだろう。「四つもあるのか?」と「四つしかないのか?」だ。

どちらも当然のリアクションである。それらの疑問に対する回答は同じで、呼吸法はいかようにも分類できる、となる。したがって本書で採用した四種類は、無数にある分け方のひとつにすぎないことを、最初にお断りしておく。

ではどういう基準でグルーピングしたのか。ここでは「息を吐くときの腹部の状態」に着目した。横軸に腹部が「ふくらむ/へこむ」を、縦軸には腹部が「動く/動かない」を置く。これによって腹式呼吸は以下の四種類に分類される。

すなわち、息を吐くときに腹部が、

A.へこむ x 動く
B.ふくらむ x 動く
C.へこむ x 動かない
D.ふくらむ x 動かない

である。これによって、歴史上存在したさまざまな腹式呼吸を整理することができた。また、対立し批判し合う各流派の主張が、どのような関係にあるかも、ひとつの基準で把握できる。

余談ながら、縦軸と横軸には他の項目を置くこともできる。鼻を使うか口を使うか、重視するのは吸いか吐きか、肩を上げるか上げないか、息は長いか短いか...などなど。

この構造を理解したうえで、あくまでも流派の中にとどまるか、あるいはより広い枠組みの中でトレーニング体系を見直すか、それは読者の自由な判断となる。

本書を貫くもうひとつのテーマは「本質主義」である。これは「形式主義」の対義語となる。呼吸法に限らず学習一般において、さほど意味のない形式が重視され、ほんらい注力すべき本質が見落とされることは珍しくない。

腹式呼吸を四種類に分類したのは、トレーニングにおける形式主義の虚構を廃し、呼吸の本質へ立ち返る一里塚としての意味もある。

わかりやすい読み物とするべく、今回も対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。







008.トマト呼吸法
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トマト呼吸法〜12秒吸って48秒止めて24秒吐く〜
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呼吸という身体運動は、いくつかのパートに分けることができる。吸う、吐く、さらには止めるという状態がある。息の止め方も喉を開けるか閉めるかで区別できる。

さらに呼吸の折返しという特異点もある。そのどこに着目するかで、さまざまな呼吸法をデザインできるのだ。

ヨーガでは息を止めることを重視し、クンバカと呼んで研究を重ねた。「吸い」「止め」「吐き」のさまざまな比率を試みた呼吸法は、ヴィシャマ・ヴリッティ・プラーナーヤーマと呼ばれる。なかでも「1:4:2」の比率には、特別な効用を発見したとされる。

私はこの呼吸法が、管楽器や声楽のウォーミングアップとして使えることを知り、練習プログラムを整理してみた。実践を重ねるうちに、それが健康法や発想法としても効果があることに気づいた。

本書では、現代的な1:4:2の呼吸プログラムとして「トマト呼吸法」をご紹介する。最初は手軽に練習できるショートバージョンを、つづいて本格的な呼吸トレーニングとして上級メニューを試していただく。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。






007.閉吸開呼
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閉吸開呼〜忘れられた秘法〜
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ラジオ体操の深呼吸では、息を吸うとき身体を開き、吐くときには身体を閉じる。

ところがこれとは逆の身体操作を行なう呼吸法が存在する。すなわち、吸うとき閉じ、吐くとき開くものだ。

私は30年近くにおよぶ呼吸法研究の過程で、この「閉じながら吸い、開きながら吐く」方法の重要性に気づき、閉吸開呼(へいきゅうかいこ)と名付けた。

それは気功、瞑想、宗教行法のそこここに発見できた。身体を開いたり閉じたりする方法もあれば、意識だけを開閉するものもあり、バリエーションは豊富である。

それらは独立した練習法としてカリキュラム化されていることはまれで、型稽古の中に潜在プログラムとして内包されるケースが多い。

水の呼吸においては、「くらげ呼吸法」の一部に閉吸開呼が登場する。本書ではさらに踏み込んで閉吸開呼を単独で取り上げ、その理論と方法を整理したい。


わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。




006.くらげ呼吸法
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くらげ呼吸法〜ぐにゃぐにゃの内臓から力が湧く〜
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水の呼吸を代表するワークのひとつが「くらげ呼吸法」である。正式名称をジェリーフィッシュ・フロートといい、くらげの浮遊を意味する。

くらげ呼吸法は、体幹部開発のためにデザインされた。骨盤底部、腹部、胸部、肩甲部を別々に使えるよう練習を重ねる。

複雑な動きをともなうので難しく見えるかもしれないが、わりとすぐに覚えられる。慣れてくれば、自然な動きと感じられるだろう。

自分の身体をくらげと思って、海中を漂うイメージでやるとよい。閉じたり開いたりしながら、のんびり水に浮かぶ気分になれたら理想的だ。

くらげ呼吸法を10分ほど実践すると、身体が変化していることに気づくだろう。体幹部がほぐれて温まり、動きやすくなっている。

さらに、内臓を大きく動かすため、血の巡りがよくなる。酸素と二酸化炭素の交換が進んで、頭もすっきりする。

呼吸法は一生にこれひとつ覚えればいいと言えるほど、ゆたかな内容になっている。ぜひ長く愛用していただきたい。

今回もわかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。







005.鳥を見た
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鳥を見た〜4つの視点で呼吸を読み解く〜
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たとえば腹式呼吸。これを推奨する指導者があれば、批判する流派もある。そしてお互いの議論はどこまでも平行線で、交わることがない。

どうしてこんなことが起きるのか。それは「見ているところが違うから」である。さらには「見方が違うから」でもある。

腹式呼吸の推進派と批判派は、どちらかが正しくてどちらかが間違っているわけではない。いずれも自分がスポットを当てている部分については、なんらかの「正しい」主張をしている。けれども、相手がどこに着目しているかに無関心なのだ。

たとえば円錐形を上から見れば円形に見える。同じ立体を横から見れば三角形に見える。円錐よりもさらに複雑な構造物であれば、観察する立ち位置次第で、その形は千変万化するだろう。

実際、呼吸は私たちがふつうに思うよりはるかに複雑で大きな身体運動である。重力、骨格、筋肉、内臓、体液、神経、細胞内器官、化学反応、心理状態など、多層に渡って影響を及ぼし合う、きわめて精緻で大規模な現象なのである。

したがって、どの部分に注目するかによって、見える景色はまったく異なる。単純な「正解」はないと言ってよい。

本書では、視点の起き方を4種類に分けて、誤解が生じる原因とその解消法について提言する。

例によってわかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズでおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらう。

呼吸法のみならず、学習一般のヒントになれば幸いである。






004.ガティング
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ガティング〜不安が消えてゆく呼吸法〜
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ガティングは、ガット(gut 腹、腸、はらわた、内臓)に強い刺激を与える呼吸法。通常は闘気を高めたり、エネルギーをチャージしたいときに用いる。

地中で真っ赤なマグマが燃えたぎり、火口から噴出するイメージの、熱力あふれるワークである。したがって、やる気が出ないときや弱気になっている場面で、心身を奮い立たせることが期待できる。

けれども困難な状況に陥ったとき、やみくもに闘気をたぎらせるだけでは、じつは強さを引き出せない。そこではずっしりと重量感のある「不動心」が求められるし、また研ぎ澄まされた冷静な「判断力」も必要だ。

目的を持ってガティングに取り組むことで、情熱を高めるだけでなく、ゆるぎない自信や、明晰な思考を形成する。そしてそれらの諸要素をうまく調製し、バランスのよい心理状態へ導くことが可能となるのだ。

今回もわかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズではおなじみの、風来末先生とパイポくんに登場してもらおう。

本書が不安解消の一助となれば幸いである。






003.守破離
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守破離〜学習の進化論〜
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呼吸法を学び始めて約30年の月日が流れた。その過程で多くの師、書籍、文献、動画などと出会い、自分なりに研究を重ねてきた。

そして気づいたのは、呼吸法はたいへんに流派性が強いということだ。それぞれみずからが正当な呼吸法であると主張し、相互に争い合っている。

鼻を使うか口を使うかに始まり、肩はどう使うか、胸は、腹は、出し入れする空気の量は、呼吸にかける時間は、呼吸を強く意識するかしないか、操作するかしないかなど、それぞれに強い主張を持つ派閥が形成されている。

「吸い」を重視するか、それとも「吐き」を重視するかも大きなテーマのひとつである。吸う練習をメインにすべきであり、吐きは無視して構わないと指導する一派が存在するかと思えば、徹底的に吐き切る練習をすべきという指導法もある。そこにお互いの価値を尊重したうえで共存を許容するという姿勢は、あまり見られないようだ。

あらゆる視点はなんらかの真理を含んでいるけれども、同時に盲点を内包している。そう指摘したケン・ウィルバーに、私は大きく賛同する。いずれの流派も、呼吸という複雑で大きな身体運動のある部分に光を当てて分析したものであり、立ち位置を変えれば違う側面が見えてくるはずである。

しかしながら、学び始めた初期段階において「あれも正解これも正解」という指導がなされれば、学習者は戸惑うであろう。そうではなくて「これだけを練習しなさい」と明解に示されたほうが安心して学べるし、効果も大きいと考えられる。つまり初学者には、一時的に視野を限定して教材を与えるくふうが求められるのだ。

このことを日本の諸芸では理解していた。それは守破離(しゅはり)という概念でまとめられ、受け継がれている。本書は伝統的な学習哲学としての守破離を説明するとともに、新しい解釈としての現代的守破離についても触れる。

わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。水の呼吸シリーズのレギュラー出演者となった風来末先生とパイポくんに、今回も登場してもらう。

学習の一助となれば幸いである。







002.キメラダンス
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キメラダンス〜呼吸を操作しない呼吸法〜
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呼吸法を長く学んで来て、気づいたことがある。楽に呼吸できる日と、そうでない日があるということだ。

呼吸法を練習していれば、当然ながらその能力は向上する。しかしどんなに上達しても、なお好不調の波があるのだ。

本書では、「空気の出し入れ」という狭義の呼吸から離れて、呼吸という運動を支える身体はどうあるべきかにスポットを当ててみた。そして具体的な身体開発の方法を提案している。

拙著『呼吸学校』『罪深き恋の呼吸法』と同様、わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。呼吸法を指導するのは風来末先生、習う生徒としてパイポくんに登場してもらう。

呼吸しやすい身体をつくる一助となれば幸いである。







001.罪深き恋の呼吸法
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罪深き恋の呼吸法〜つよく・みじかく・ふかく〜
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呼吸はさまざまな分野で重要視される。武術、スポーツ、ヨーガ、座禅、メンタルコントロール、健康法、出産、学習、歌唱、楽器演奏など。

そして人類の歴史においては、多くの呼吸法が開発されてきた。ヨーガだけでも数十種類、分類法によっては数千から数万種類あるとも言われる。

私はこれまで30年近く、それらの呼吸法(のごく一部だが)を実践・研究してきた。セミナーを開催し、『呼吸を変えれば音楽は変わる』『呼吸学校』『ひとりで呼吸法ばかりやってきた』『ねこ気功』『一秒瞑想』などの著書を上梓した。

そしてこのたび、ひとつの試みとして、呼吸法を大きく2種に分類してみた。

1.強く・短く・深い呼吸
2.弱く・長く・浅い呼吸

の2つである。

前者の頭文字「つ」「み」「ふか」を組み合わせると「罪深き」、後者は「よ」「なが」「あさ」で「夜長浅き」となる。そこで愛称として、それぞれ「罪深き恋の呼吸法」「夜長浅き夢の呼吸法」と呼ぶことにした。恋と夢はちょっとした遊びである。

罪深き恋の呼吸法は、おもに呼吸能力向上を目的とする。どちらかといえばフィジカルで動的な呼吸法である。一方、夜長浅き夢の呼吸法は、意識操作に役立つメンタルで静的な呼吸法となる。

本書は、拙著『呼吸学校』と同様、わかりやすい読み物とするべく、対談スタイルのフィクション形式を採用した。呼吸法を指導するのは前著に引き続き風来末先生、習うのは新しい生徒パイポくんが登場する。

呼吸を使ったメンタルコントロールの入門書となれば幸いである。







呼吸研修テキスト
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呼吸研修テキスト〜水に学ぶ25のレッスン〜
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本書は「呼吸研修」のグループレッスンおよびプライベートレッスン用のテキストである。本格的に呼吸法を学びたい人のために、個々のトレーニング法を網羅的かつ詳細に解説している。したがって一般向けの書籍でないことをお断りしておく。紙数の多い大冊であり、価格が高額なのはそのためである。

しかしながら本書の大部分は、テーマごとに電子書籍「水の呼吸シリーズ」として刊行されている。軽い気持ちで読んでみる方は、そちらをあたっていただきたい。ほとんどの巻が独立した内容となっているので、ご興味に応じてどこからでもお読みいただける。

その電子書籍25冊分を集めたのが本書である。一見すると絶望的にたくさんの課目があるように思える。しかしそれらは単なる情報の羅列ではない。そこには建造物のような構造がある。個々のワークがどう位置づけられるか、何をどれくらいどの順で練習すればよいか、そのヒントを最終章にまとめてある。

呼吸という大きなそして複雑な身体運動を解き明かすために、可能な限りやさしい表現を試みた。わかりやすく解説するために、ほぼ全編において対談形式のフィクションを採用している。水の呼吸の指導者である風来末先生と、弟子入りした中学生パイポくんの軽妙な会話によって、呼吸法の奥深い世界が語られる。

投稿者 kurosaka : 2020年3月23日