ワールド・プロジェクト・ジャパン  〜 合奏音楽のための国際教育プロダクション 〜


ボビー・シューのトランペット講義録

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どのように練習するか
教育者としてのボビー・シュー






どのように練習するか

●漫然と機械的に練習してはいけない。
●創造的な心と創造的な耳を育てなさい。
●退屈するような練習はいけない。

●知ってること、できることばかりやらない。
●ひとつのエチュードを覚えたら、それを発展させる。
●ロングトーンのかわりにバラードを美しく奏でる。
●苦手な調があれば、それと仲良くなる。

●練習には三つの要素がある。
1.メインテナンス(すでにできることの確認):7〜8分からせいぜい10分までで切り上げる。
2.問題の解決(できないことの克服):これが練習の中心となる。
3.新しい分野への挑戦:今までやったことのないことに対して心を開き実験的に取り組んでいく。

●心を開くこと(オープンマインド)は重要。
As the saying goes, a mind is like a parachute. It works best when it's open!(ことわざにもあるように、心はパラシュートのようなものだ。開いているときに一番うまく働く)

●これしかないという正解はない。先生の言うことを鵜呑みにしないで、かならず自分で考え、選択する。
●つねに「考える」「くふうする」こと。

●練習とは、人生の設計である。自分がトランペット吹きとしてどのようになりたいかを思い描き、それをデザインするのが日々の練習だ。







教育者としてのボビー・シュー

2015年に来日したボビー・シューは、当時74歳だった。私は、彼が衰えを知らないどころか進化しているように感じた。

そのことをストレートに伝えたところ、本人は「当然さ。進化しない限り衰えていくからね。同じ場所に留まることなんてあり得ないんだ」と、びっくりするようなことを言う。

また、ボビーは教育者としても58年間(当時)のキャリアを誇る。「生徒の問題のほとんどは技術的なことじゃなく、心理学的なものだ」と、これまたすごい発言が飛び出す。

●「Maynard Fergusonのようになろうとか、Wayne Bergeronのようになろう、あるいはBobby Shewのようにという試みは失敗するだろう。自分自身であろうとするよう努めなさい。ほかの誰かであるべきではない」。

●「自分を変えられるのは自分しかいない」。

●「自分が自分の最高の教師だ」。

●「passion(情熱)はinspiration(ひらめき)を生み、それはmotivation(やる気)につながる」。

●「現在の音楽教育はシステムが間違っている。知識を与えるのではなく、創造性を育む仕組みが必要なんだ」。

●「ただ、創造性は教えることができない。それは本人が学ぶしかないから。Teach ではなく Learn が大切なのさ」。

●「目よりも耳を使って練習することだ。譜面や理論も大切だけど、それにしばられるのではなく、自分の耳を信頼してごらん」。

●「譜面を覚えてしまうまで練習するようなことはやめなさい。初見とインプロヴィゼーションに力を注ぐべきだ」。

年を重ねてなお強くなり続ける武道家の言葉を聞くようだった。

投稿者 kurosaka : 2018年11月 2日