ワールド・プロジェクト・ジャパン  〜 合奏音楽のための国際教育プロダクション 〜


呼吸と演奏を関係づける

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管楽器指導者の中には、演奏に呼吸法の知識や練習を取り入れることに慎重な意見を持つ方もおられます。ほかに考えるべきことがたくさんあるので、呼吸法にばかり重点を置く指導には賛成できないとする見解です。はたしてこの意見は妥当でしょうか。

管楽器は息を吐いている間だけ音が鳴っているわけですけれども、アサコ、フカコ、ナガコなどを経験してみると気づくことがあります。それは、息の吐き始めから吐き終わりまで、時々刻々と身体の状態が変化しているという事実です。

肺の中の残気量の違いによって、使われる呼吸筋群の位置や入力感がまったく違う。そしてそれは常に変わり続けているのです。ここに「換気量」「換気時間」などの変数を入れると、息を吐くための身体の使い方は、じつに繊細で、複雑で、壮大で、豊かなメカニズムとして体験されます。

一方、口から吐き出される空気はなめらかに均一であることが求められます。呼気を供給する身体のほうはめまぐるしく変化しても、出てくる息はその変化を反映させてはならないわけです。

そうだとすれば、求められる演奏の条件と呼吸の関係をふだんの練習ではっきりと意識しておくことに意味があるとは言えないでしょうか。少なくとも満息域と空息域を明確に区別することは、演奏者や指導者に大きなメリットをもたらすと筆者は考えています。

最終的には「身体に任せる」という状態になるのは言うまでもありませんけれども、練習段階においてどのフレーズのどのあたりを吹くときに、どのような身体の使い方をしているか分析してみることでいろんな発見があるはずです。

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投稿者 kurosaka : 2017年8月10日