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管楽器は鼻から吸うか口からか

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【インデクス】
管楽器は鼻から吸うか口からか 2013.7.18
 - 吸気についてのみ考える
 - 口吸気の弊害
 - 鼻呼吸を促進させるマスク
 - あえて口から吸うことの意味
 - 四つのグループ

鼻づまり対策 2013.9.15
 - 鼻づまりで困った時は、このツボを20秒間押すだけでスッキリ解消
 - 鼻づまりの理にかなった解決方法:氷を頬張る






管楽器は鼻から吸うか口からか 2013.7.18

管楽器のブレスを鼻から吸うか、それとも口からかについてはいろんな意見があります。ここでは結論を出すのではなくて、どのように考えるべきかについて、論点を整理したいと思います。




吸気についてのみ考える
まず人体にとっての口呼吸と鼻呼吸を比較するとき、原則として鼻は呼吸器官、口は消化器官であり、その観点からは鼻で呼吸することが望ましいと考えられます。したがって「原則は鼻、例外が口」と言うことができます。

ただ、口は発声器官でもありますので、息を吐くことについては口が日常的に使われています。管楽器演奏においても口から息を吐くのが前提です。したがって、本稿において呼気(吐くほうの息)については鼻か口かを考えません。問題を吸気(吸うほうの息)に限定して論を進めます。



口吸気の弊害
口から息を吸うことには、一般に以下の弊害があると言われます。※参考資料:東京予防歯科研究会のサイトほか

●空気中のホコリ、細菌、ウィルス、花粉、排気ガス、冬場は冷たい
 空気などを肺まで直接吸い込むことになる。
●その過程で喉にあるリンパ組織(扁桃腺)がダメージを受ける。
●リンパ組織が慢性的な感染状態となり全身の免疫機能が落ちる。
●口呼吸をしていると「片噛み」や「横向き寝」を促し、姿勢や骨格
 のユガミまで連鎖するとの報告もある。
●口呼吸で口腔内が乾燥することによって、唾液による自浄作用、緩
 衝作用が阻害され、虫歯や歯周病のリスクが高まる。
●唾液中のカルシウムイオンやリンイオンによる初期虫歯の再石灰化
 が阻害され、虫歯、歯周病を進行させる。
●口呼吸では口が開いている時間が長くなり、口のまわりの筋肉が緩
 みがちになりがち。その結果、奥歯をかみしめても上下の前歯が
 かみあわない「開咬」のリスクが高まる。




鼻呼吸を促進させるマスク
口呼吸のデメリットを避けるために、鼻呼吸を促進させる「レブナ」というトレーニング器具も開発されています。

PG_yn8GuHf2AQ3iNwQJ.jpg
http://patentworks.info/products.html

鼻からは吸気のみを入れ、口からは呼気のみを出せるようにした気密性の高いマスクです。以下の産学官連携によって研究開発されました。鼻吸気にこれほどのニーズがあるというのは驚きです。

東京大学 先端科学技術研究センター 人間情報工学分野
埼玉県立大学 保健医療福祉学部 理学療法学科
公立はこだて未来大学
国立大学法人 室蘭工業大学
函館工業高等専門学校
東海大学 体育学部 恩田哲也 Ph.D.  技術指導
札幌武蔵野美術学院
函館地域産業振興財団
北海道立工業技術センター
地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 工業試験場
財団法人 北海道体育協会
日本パーソナルトレーナーズ協会 米澤美郎



あえて口から吸うことの意味
ここまで見てきたように、口から息を吸うことには多くの問題点やリスクがあると考えられています。それでもあえて口から吸うという選択をするからには、そこによほどやむを得ない事情があるか、あるいはデメリットを上回る大きなメリットがなくてはならないということになります。

たとえば競泳やシンクロナイズドスイミングにおいては、鼻から吸気することは事実上不可能だと言えます。そこに「やむを得ない事情」があるわけです。管楽器演奏においては
そこまでの事情があるかどうか、検証してみる必要がありそうです。

管楽器演奏について、私の知る範囲では「鼻から吸うべき」「口から吸うべき」「使い分けるべき」「どちらでもよい」など、プロアマを問わず奏者・指導者の間で意見が分かれています。そこでは論点を大きく二つに整理できそうです。



1.鼻吸気が「できる」か「できない」か
できない理由としては、鼻が詰まっている、楽器演奏に必要な量の空気をタイミングよく吸うのに鼻では間に合わない、などが代表的なものです。


2.鼻吸気が「望ましい」か「望ましくない」か
望ましくない理由としては、吸いから吐きへの折り返しが円滑にできない、吐く前に息を止めると身体が緊張するなどの意見をよく聞きます。

これら二つの論点をマトリクスで整理してみました。

hanakara.jpg
※図クリックで拡大



四つのグループ

A.鼻から吸気が「できる」x「望ましい」
鼻が通っていて、演奏に十分な空気を鼻から確保できる人、そして鼻からの吸気が演奏にとって望ましいと考える人のグループです。これを、鼻吸気派としましょう。残りの三つのグループはすべて口吸気派です。


B.鼻から吸気が「できない」x「望ましい」
できれば鼻から吸うほうがよいと考えながらも、鼻の通りが悪い、演奏に必要な空気をタイミングよく確保できないなどの理由から、やむを得ず口から吸うグループ。これは、消極的口吸気派と言えるでしょう。


C.鼻から吸気が「できる」x「望ましくない」
鼻から吸気はできるけれども、やらないほうがよい、あるいはやってはいけないと考えるグループです。これが、積極的口吸気派。


D.鼻から吸気が「できない」x「望ましくない」
鼻からの吸気はうまくできなくて、かつやるべきではないと考えるグループは、現実的に口吸気以外の選択はできないので、現実的口吸気派と呼んでみました。




鼻から吸うべきか口から吸うべきかという議論に先立って、まず自分の立場がA〜Dのどこに位置するかを確認することは、論点を整理する上で役に立つでしょう。

また「原則はAだけど間に合わないときはB」のような混合派もあり得ます。「ふだんはCだけど循環呼吸のような特殊なテクニックを使う時だけA」という人もあるはずです。

先に見たように、口からの吸気は大きなリスクを伴います。C.積極的口吸気派の立場を取る場合は、口吸気にデメリットを上回るメリットがあるか(メリットを上回るデメリットがないか)を十分に検証する必要があります。

逆に管楽器演奏において、鼻から吸うことのデメリットが十分に大きければ、口吸気というリスクを冒す意味があると言えます。これについても精査する必要があるでしょう。

さらに、B.やD.については、治療やトレーニングによって解決できる可能性がないか、これも慎重に考えてみる価値がありそうです。

いずれにしても、なにを理想として、現状とのギャップをどのようにして埋めていくか。それを考える一助になれば幸いです。

今日のところは、ここまで。






鼻づまり対策 2013.9.15
※出典:lifehacker
- 鼻づまりで困った時は、このツボを20秒間押すだけでスッキリ解消
舌で口内の上の部分を押し、眉間に指をギュッと押し当てます。その状態を20秒間保つと、鼻づまりが解消されていきます。

- 鼻づまりの理にかなった解決方法:氷を頬張る
鼻づまりは、鼻の穴の血管が膨張することにより起こります。つまり、近くに氷を近付けて(氷を頬張って)血管を収縮させれば鼻づまりはよくなるわけです。また、熱い飲み物を飲むのは避けましょう。(膨張を助長し)さらにひどくなるだけです。

投稿者 kurosaka : 2013年7月18日