命がけの修行と向き合う
フロー体験とはなにか?
オリンピックやワールドカップで見られるように、スポーツ技術の高度化はめざましい。
そういうオモテのスポーツに対する「ウラ」とも言えるのが、いわゆるエクストリームスポーツである。スピードや高さ、危険さなど、過激さを売りとするもので、英語では action and adventure sports と呼ばれている。
スカイダイビング、フリークライミング、スケートボード、フリースキー、ビッグウェーブサーフィン、ベースジャンプ、ホワイトウォーターカヤック、スノーボードマウンテニアリングなど種目もさまざま。
じつはこれらエクストリームスポーツの世界では、オモテのスポーツを超えるような、文字通り「超人的な」技術革新が繰り広げられているそうだ。
その凄まじい現場をレポートするのが本書、スティーヴン・コトラーによる「超人の秘密」である。
人類の限界を超える挑戦、その驚異の世界を読み解くキーワードが「フロー」。まわりが見えないほど対象に没頭している意識状態のことをさす。スポーツ界では「ゾーンに入る」という表現のほうがよく使われるようだ。
フロー状態に入ると集中力が極度に高まり、パフォーマンスのレベルが上がる。周囲の音が消える、時間が止まったように感じる、選択すべき行動がはっきりわかる、など通常とは異なる体験をする。
そして、生死をかけて勝負するエクストリームスポーツの選手は、普通人よりフロー体験が多いと言われる。
気功における「入静」は、フローに共通する状態と考えられる。ヨーガにおける「サマーディ=三昧」も同様だろう。
そう考えると、仏教の「ニルヴァーナ=涅槃」「空」「浄土」「他力」「無我」「身心脱落」「如来」「法灯明」「阿頼耶識」、キリスト教の「愛」「神の国」、武術における「無心」、各種瞑想における「純粋意識」「超越意識」「宇宙意識」なども、同じ現象の違った現われ方を表現しているのではないか。
フロー体験は、スポーツ能力の向上だけでなく、一般人の学習やビジネスにおけるスキルアップにも役立つと考えられている。
時間の経過を忘れるほどの集中状態。それを意図的に作り出せるのであれば、あらゆる分野における能力開発に大きく貢献するだろう。学校教育の基本を「フロー」に置く、などというアイデアが出てくる日が来るのかもしれない。
エクストリームスポーツに興味があってもなくても、一読に値する名著。
●超人の秘密
エクストリームスポーツとフロー体験
著:スティーヴン・ コトラー
訳:熊谷玲美
●「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方
著:カンポン・トーンブンヌム
●瞑想から荒行へ
ー意識変容をめざして
すごい本です。初心者向けのハウツー本ではない
ので、論理的 に理解するのは難しい。でも、ある
程度瞑想経験のある人なら、 著者の言葉の裏にあ
る巨大な世界を感じて慄然とするでしょう。
たとえば、こんな感じ。
<生徒> 瞑想で、今、自分の心境がどの程度
のレベル なのかがわからないので
すが...。
<先生> あと三ヶ月の命と宣告されたと思い
なさい。すぐ、わかるから。その時、
あなたは、何を考えるか。あと三ヶ
月しか生きられないとしたら、何を
することを考えるか。どう生きるか。
それだけの問題だと思います。
(中略)
瞑想をしてどのへんにいるかを聞く
なんて、そんなバカなことはない。
あなたがわからないもの、私がわか
るわけがない。
(中略)
なんで背水の陣を布いて問題にぶつ
からないのか。これで最後だと思っ
たら、自分でわかるように理解する。
(中略)心が動かないで、脳ミソだ
けで聞いてたら、さっぱり理解が
いかない。
この厳しさ。でも、本気で生きるって、こういう
ことなんでしょうね。身の引き締まる思いです。
●クンダリニーヨーガ
●現代仙道百科
●ニルヴァーナのプロセスとテクニック
禅とヨーガの厳しい修行を体験した著者ダンテ
ス・ダイジ師が,ニルヴァーナに目覚めた体験
談と瞑想行法を記録した実践的行法書。呼吸停
止、脈拍停止、脳波停止など死に至る危険な行
や,クンダリニー・ヨーガの行法を公開した。
論理、教義、宗派を超えた地平が眼前に開ける。