頭を使う!
●世界に通用する子供の育て方
著:中嶋嶺雄
「国際教養大学」(秋田市)を、あなたはご存知ですか? なぜ、この大学は就職率100%なのか? その理由は「世界に通用する人材育成」にあります。授業はすべて英語。独自の「教養教育」「留学制度」などによって「世界レベルで活躍できる人材」を育成してきた結果、他の大学を圧倒する高い就職率を実現しました。
人口が減少する日本において、もはや内需の拡大は望めません。その中で企業は海外、特に新興国に活路を見出す傾向が強くなってきています。もはや国内だけに目を向けていて、それで済む時代は終わりました。積極的に世界に出ていき、そこで活躍できる人材でなければ
もはや就職もままならないのです。
本書は今、教育関係者、企業の採用担当者などから熱い注目を浴びている国際教養大学の学長が「子供の才能を引き出し、世界の舞台で活躍させる秘訣」を教えます!
6つの帽子をかぶり分ける
デボノ博士が開発した「6 Thinking Hats」は日本
の企業では「6色ハット発想法」として、商品企
画から会議の運営まで、幅広くビジネスに応用さ
れているようです。
ハットは帽子のことで、発言に際して6色の帽子
をかぶり分けます。つまり、自分が述べる意見が、
どういう「視点」に立つものかを、自分自身(お
よび相手)に対してはっきりさせるのです。
A:「事実」の白色帽子をかぶるとき
客観的事実、統計、データについて述べる。
B:「感情」の赤色帽子をかぶるとき
主観的意見、直感、感情、気持ち、好き嫌い
について述べる。
C:「批判」の黒色帽子をかぶるとき
リスク、懸念、悲観的意見、否定的意見、
反対意見、何が失敗しそうかについて述べる。
D:「評価」の黄色帽子をかぶるとき
利益、プラスとなるもの、肯定的意見、
楽観的意見、利点は何かについて述べる。
E:「提案」の緑色帽子をかぶるとき
創造、提案、新しいアイディア、代替案
クリエイティブな意見を述べる。
F:「俯瞰」の青色帽子をかぶるとき
全体を見渡し、意見の流れをコントロールし、
結果をまとめる。会議の議長役。
個人としてこの発想法を生かすために
<エクササイズ1(Ex.1)>
「B:感情」や「C:批判」は、比較的簡単なの
で、この種の発言からトレーニングすると入り
やすいというのが私(水行末=黒坂洋介)の考
えです。
<エクササイズ2(Ex.2)>
次に「A:事実」を明らかにする練習をします。
事実は何であるか、それを自分の「意見」と峻
別するのは案外難しいものです。また「F:俯
瞰」の練習もここで行ないます。
<エクササイズ3(Ex.3)>
そして「D:評価」、つまり肯定的な意見をひね
り出し、さらに創造的な「E:提案」を考える段
階に入ります。
自分の書いたものを読み直すとき、それがA〜F
のどれに相当するか自己診断し、たとえばBやC
ばかりに偏っていたら、ほかの視点も導入する
ことでより深く考えることができます。
また、他者の発言を分析するときも、A〜Fのど
の視点が多いかに着目することで、相手の見落
としている視点を指摘することができます。