みんなで、アロハ!
石川県高等学校選抜吹奏楽団のハワイ環太平洋音楽
祭2001公演レポート(3.25〜4.2)。
<南国の音楽祭>
ヤシの木、ポリネシア舞踊の妖しいリズム、降り注ぐ陽
光。南国ムード満点のハワイ大学・野外円形競技場のル
アウ・パーティーは、宴もたけなわ。アメリカ、カナダ、
オーストラリア、ニュージーランド、そして日本からの
高校生たちが、明るい日ざしの中で歓声をあげています。
今年で16回目を数える「環太平洋音楽祭(Pacific Basin
Music Festival)」のフィナーレとして行われる野外パー
ティー「ルアウ」。そのハイライトは、各国グループ代
表者による「フラダンス・コンテスト」です。お手本と
なるダンサーの見様見まねで、激しく腰を振り、優雅に
手を動かす。会場は一気に笑いに包まれます・・・。
<石川県高等学校選抜吹奏楽団>
今回のハワイ公演は、石川県吹奏楽連盟の創立40周年記
念事業として行われたものです。
石川県内の高等学校から選抜された73名のメンバーを指
揮するのは、金沢市立工業高校の幸正勤也先生。吉田歳
嗣県議を団長として、石川吹連理事長・松原清先生ら10
数名の吹連スタッフも同行されました。
<フェスティバル演奏会:3月28日>
各国からの参加楽団が腕を競い合う「フェスティバル演
奏会」は、行程4日目の3月28日、パシフィック・ビーチ・
ホテルのグランドボールルームで開催されました。
審査員は3名。ハワイ大学で教鞭をとるGrant Okamura氏、
カリフォルニア・ポリテクニック州立大学教授William
Johnson氏、そしてヤマハ吹奏楽団名誉指揮者の渡部謙一
氏です。
石川選抜楽団は、"Le Regiment de Sambre et Meuse"、
"Kobiki-Uta for Band"、"The Merry Widow Selection"
の3曲を演奏。審査員全員一致で最優秀バンドに選出
されました。
<アンコール演奏会:3月30日>
行程6日目の3月30日は、「コマンド・パフォーマンス」
と呼ばれるアンコール演奏会です。フェスティバル演奏
会で最優秀に選ばれた吹奏楽団と合唱団、そして「フェ
スティバル・セレクトバンド(後述)」、全合唱団によ
る合同歌唱「マスコーラス」の4グループが演奏を披露
します。会場は、改装を終えてきれいになった「ハワイ・
シアター」。クラシカルな装飾が施された、素敵なホー
ルです。
ここで石川選抜楽団は、アンコール演奏として、"Le
Regiment de Sambre et Meuse"、"The Merry Widow
Selection"、およびポップスの"Carpenters Forever"を
演奏。美しくそして楽しい演奏に、会場は総立ち。拍手
の嵐につつまれ、団員一同、感激の涙、涙・・・。
アンコール演奏会の最後に表彰式が行われ、記念の楯が
全団体の指揮者に手渡されました。石川選抜・幸正先生
の名前が呼ばれると、ひときわ拍手が大きくなり、ここ
でも会場はスタンディング・オベーション。割れんばか
りの拍手と歓声で、石川選抜の演奏を称えました。
<アラモアナ演奏会:3月29日>
行程5日目の3月29日夕方、アラモアナ・ショッピング・
センターのステージで、石川選抜は演奏会を行いました。
ハワイ沖の事故で沈没した「えひめ丸」犠牲者追悼のた
めに、団員が折った千羽鶴をステージに飾り、宇和島水
産高校の校歌を演奏。
以下日本の童謡メドレーや「コパカバーナ」など、軽め
のレパートリーを披露しました。ステージを取り巻く多
くの買物客から、ここでも大きな拍手をいただきました。
<多重的な国際交流プログラム>
「環太平洋音楽祭」の一番の特徴は、その多重的な国際
交流プログラムにあります。
1.フェスティバル・セレクトバンド
参加各バンドから10名程度を選出し、セレクトバンド
を編成。現地で4日間の練習を行います。今年の指導
者は、William Johnson氏で、"Marrige of Figaro,
Overture"、"Misty Rain, Softly Falling"、"Ghost
Train"、"Great Gate of Kiev from Pictures at an
Exhibition"などを練習、「コマンド・パフォーマン
ス」で成果を披露しました。フェスティバル・セレク
トバンドに参加したメンバーは、非常に密度の濃い国
際交流を体験できます。
2.ウェルカム・ディナー/ダンスパーティー
行程2日目の夜に行われる夕食会です。各グループの
メンバーがバラバラになって知らない者同士で着席す
るため、新しい友達を作る絶好の機会となります。石
川選抜の女子の多くは、浴衣姿で参加。パーティーの
注目の的でした。夕食に引き続いてディスコ・ダンス
となります。ここで一気に打ち解けることができます。
3.ワークショップ
外国人講師によるバンド指導です。石川選抜は、Grant
Okamura氏とWilliam Johnson氏の両名から、各1時間
の指導を受けました。
4.合同練習会
外国のグループとの合同練習です。お互いの譜面を演
奏し合ったり、両バンドの指揮者が交互に指揮したり
することで、交流を深めます。着席も、両バンドのメ
ンバーが一人置きに座ります。石川選抜はアラスカの
Dimond High School、カリフォルニアのConcord High
Schoolの2楽団と合同練習を行いました。
5.クリニック
楽器別の講習会です。ハワイ・シンフォニーの楽団員
を中心とした講師陣が、各楽器の奏法指導を行います。
各バンドの同じ楽器の者同士が集まるので、ここでも
より親密な交流機会が生まれます。しかも、クリニッ
クは音楽祭の後半に開催するため、それまでに顔見知
りになった仲間たちもいて、話しかけやすい雰囲気が
生まれています。
6.ルアウ
そして、ルアウです。音楽祭全体のフィナーレを飾る
この野外パーティーで、写真を撮り、住所を交換し、
ともに過ごした1週間の楽しさを確かめ合います。
<国際語を使いこなすために>
「音楽は国際語」とはよく言われることです。けれども、
本当にそれを国際語として使いこなすためには、ちょっ
としたお膳立てが必要になります。
「環太平洋音楽祭」が用意している各種のプログラムは、
音楽が国際語として最大限機能するように、工夫と改良
を重ねてきたものです。ハワイの開放的な空気も、友好
気分をさらに盛り上げてくれます。
「国際交流」をキーワードとしたこの音楽祭は、合奏音
楽の持つ可能性をどこまで引き出せるか、今後も、参加
者とともに、実験を重ねていくことでしょう。
たくさんの友達と楽しい思い出を胸に、石川県高等学校
選抜吹奏楽団はハワイを後にしました。
アロハ!
ワールド・プロジェクト・ジャパン 黒坂洋介
投稿者 kurosaka : 2004年3月15日