江戸という文明
●剣の精神誌
〜無住心剣術の系譜と思想〜
著:甲野 善紀
(一)無住心剣術の幻影
現代社会にみる剣術思想の影響―小林秀雄の武蔵観/山田次朗吉と『日本剣道史』/白井亨の役割/「強さ」このはかりがたいもの/本書執筆への軌跡
(ニ)無住心剣術の生い立ち
無住心剣術開祖、針ヶ谷夕雲/無住心剣術二代、小出切一雲/異端の天才剣客、真里谷円四郎/術技を捨てたその幻の剣術とは(一)/型破りな剣術思想/異端児、円四郎への風当たり/小出切一雲の晩年/無住心剣術の消滅―真里谷円四郎の死
(三)白井亨は無住心剣術を再興したか
白井亨の生い立ち/寺田五郎衛門のこと/練丹のこと/徳本行者のこと/寺田における心剣の剣術/天真白井流への軌跡/天真白井流の剣術原理
(四)江戸時代が育てた剣術の技と思想
『猫の妙術』の世界/千葉周作にみられる近代合理性の萌芽/無刀流開祖、山岡鉄斎/無眼流のこと
(五)日本の剣術思想にみられる「気」の概念
「気」の概念の芽生え/無住心剣術における「気」/丹田の発見/無住心剣術における気の練成
(六)逆縁の出会い
命のやりとりをどうみるか/日本における武の思想の特色
(七)相ヌケの思想―武家思想に与えた禅の影響
相ヌケを起こさせるもの/無住心剣術、術技を捨てた幻の剣術とは(二)/感応同調の剣術/人間にとっての自然とは
結び
●逝きし世の面影
江戸時代後期は、私たちが思い描く「幕府の専制
や重税に苦しみ自由のない庶民」とはまったく
イメージの違う社会だったようです。
そこには、質素でゆたか、自由で快活、礼儀正し
くて清潔、笑いとユーモア、官能と娯楽、高度な
工芸技術、知的な洗練が満ちあふれていた。西洋
とは別種の「ゆたかさ」がありました。そしてそ
れは、現代日本とも別種のゆたかさでした。
渡辺京二氏は、幕末から明治初期にかけて来日し
た外国人が記録した日本に関するおびただしい数
の文献を整理し、日本人が、いや人類が捨ててき
てしまった「ある文明」の姿をあざやかに描き出
します。