生きた神話 メイナード・ファーガソン 【CD】
メイナード・ファーガソン
註:以下の文章は2006年夏に予定されていた
日本公演の前に書かれたものです。残念
ながらファーガソンは来日3週間前に逝去。
彼のハイノートを待ち望んだファンの夢は
叶いませんでした。
「ジャズの生きた伝説」の異名を持つ、世界でもっとも偉大なトランペット奏者の一人。
1928年5月、カナダに生まれる。バイオリニストの母親の薫陶を受け、4歳でピアノとバイオリンを始め、9歳でケベックのフランス音楽院に入学。
その天賦の才能は、11歳でカナダ放送交響楽団と共演し、神童と呼ばれたときから発揮されている。16歳でジャズバンドを結成。1950年代には チャーリー・バーネット、トミードーシー、そしてスタン・ケントンといった著名なビッグバンドを渡り歩く。彼のトランペットはジャズ界に高らかに響き渡った。
成層圏を突き抜けると称されるほどのハイノートが有名な彼だが、 1955年にはレナード・バーンスタイン指揮のニューヨーク・フィルと共演。「マッカーサー・ パーク」のリメイクは1970年代にヒット。「ロッキーのテーマ Gonna Fly Now」はポップチャートにベスト10入りし、ゴールドディスクを獲得。1978年のグラミ −賞にノミネートされるなど、ジャズ史上かつてない偉業を成し遂げた。
彼の初期のバンドからは、チック・コリア、ボブ・ジェームズ、ビル・ チェイスなど、多くのミュージシャンが巣立っている。近年は自己の「ビッグ・バップ・ ヌーボー・バンド」とともに、世界各地のフェスティバル、コンサートホール、ジャズクラブ、大学での演奏に出演している。
ファーガソン語録。「私はつねに変化し続ける人間だ。自分の芸術性や創造性にはいつも忠実でありたい。そうした行動こそが"ジャズ"という言葉の意味するもの、冒険なんだ」。
今回の来日は、1998年のモントルー・ジャズ・フェスティバル・イン・ジャパンから実に8年ぶり。ますます冴え渡るハイノートと、タイトなバンドサウンドは全国のファンを魅了するに違いない。
【プロフィール監修】
堤 豊(メイナード・ファーガソン研究家)