ウェブ時代
ウェブ時代をゆく
─いかに働き、いかに学ぶか
著者:梅田望夫
〜本当の大変化はこれから始まる〜
2006.4.18
これはすごい。ものすごい!
情報量の多い書籍なので、「ここがすごい」と要
約するのは難しいです。ひとまず今日はひとつの
話題だけにふれましょう。
<インターネットの「あちら側」>
PCのハードディスク内で情報を処理するのは「こ
ちら側」のできごと。マイクロソフトも日本のIT
企業も、これまではほとんどがこの領域で勝負を
していました。
ところが、グーグルという企業が仕掛けた戦いは、
インターネットの「あちら側」で行なわれます。
究極的には、PCにハードディスクは必要なく、す
べての情報の蓄積と処理をインターネット上で済
ますような世界、それが「あちら側」の世界です。
情報が「こちら側」に存在する限り、マイクロソ
フトは、その情報を処理するソフトの覇権を支配
できます。しかしグーグルは、世界中の情報を組
織化するためのシステムを「あちら側」に作り上
げようとしているのです。
そこには、目に見えない巨大な情報空間が出現し、
その情報を高速に検索し引き出す仕組みが提供さ
れる。
<スピリチュアルな世界>
この話から私が連想するのは、意外にも「悟り」
「自他の超越」「梵我一如」のような、宗教的境
地です。PCという小我を捨てて、インターネット
という大我にアクセスする。そんなイメージです。
実際、世界中の情報がネット上にあって、それを
自在に引用し、編集し、再出力してネットに戻す
仕組みがあれば、それは人類全体の頭脳として機
能する可能性さえ感じます。
いうまでもなく、これは既存権力や現在のエスタ
ブリッシュメントにとっては不快かつ脅威となる
話です。特許や著作権というものも、そのあり方
を根底から変えなければならないでしょう。
情報は誰のものか。そもそも所有とは何か。
グーグルの描く世界は、単なるテクノロジーの進
化やビジネスの競争を大きく超えて、人はいかに
生きるべきかを考えさせる、壮大な時空を提供し
てくれます。
ぜひご一読を!
投稿者 kurosaka : 2006年4月18日