ワールド・プロジェクト・ジャパン  〜 合奏音楽のための国際音楽プロダクション 〜


音楽家のための「ねこ気功」バックナンバー


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  mixiねこ気功コミュに入ろうニャ
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季刊音楽雑誌 楽器族。ブラストライブ  において


  音楽家のためのメディテーション
  「ねこ気功」入門



を連載しています。編集長の許可を得て、以下に
バックナンバーを掲載します。


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【プロフィール】
■寿限無老師(じゅげむろうし)
猫の気功師。年齢や居住地など不詳。水行末の練功
中、気功状態が深まったときにチャネリングして
メッセージを伝える。水行末筆記による
「哲学ニートのためのねこ気功」
「寿限無老師の愛論」
などでその功法や思想は知ることができる。


■水行末(すいぎょうまつ)
身体操法、呼吸法、意識操作法などの研究を
続ける一方、寿限無老師のメッセンジャーと
して記述活動を行なう。
「ウォーター&ブレス」
「まま呼息の発見」
など音楽に関する独自の論文多数。
合奏教育のための国際音楽プロダクション
「ワールド・プロジェクト・ジャパン」代表。
金管楽器のハイノート奏法「タングマジック」
企画するなど幅広く活動している。


【第一回】
2006年10月23日発行 Vol.01

我輩は猫である。名前は、もうある。ヒト呼んで寿
限無老師。もちろん本名はずっと長い。寿限無寿限
無五劫の擦り切れ、というアレである。弟子は、今
んとこひとり。一番弟子は海砂利水魚じゃったが、
いつの間にかハッシュドビーフだかクリィムシチュ
だかになって活躍しちょる。というわけで、そこか
ら数えてン番目の不肖の弟子に、吾輩の秘伝の「ね
こ気功」を伝授してやろう、と思ったのじゃが…


寿:ああ、よく寝た。

水:おはようございます。「猫は寝子」といいます
  が、ずっとお休みだったのですか?

寿:ああ、400年ほどニャ。

水:へ?

寿:ニャはは。吾輩は寝ているといえば寝ている、
  目覚めているといえば目覚めている。そういう
  ことは超越しとるんじゃ。

水:う〜ん、ホントかなあ…。ま、いいや。老師が
  お休みになっている間に、音楽家がヨーガや古
  武術の身体の使い方を学んで、演奏に生かすと
  いう話をよく聞くようになりました。気功もそ
  ういう分野で役立つと思うんですが、いかがで
  しょう?

寿:当然、役立つニャ。 

水:では、起き抜けに申し訳ありませんが、寿限無
  老師から音楽家、特に管楽器奏者に向けて、ね
  こ気功の視点でアドバイスをいただけますか?

寿:ニャんじゃな、吾輩としては、目覚めにギャル
  たちとムーディーな会話を楽しんでからにした
  いのじゃが…。

水:それはあとのオ・タ・ノ・シ・ミ! ですよ、
  老師。

寿:む? ニャはは。そういうことならよいのじゃ
  が。おっほん。で、ポイントは三つある。一つ
  目は身体の使い方で、これを吾輩は「からだづ
  かい」と呼んでおる。

水:おお、いきなり本題なんですね。はい、それで
  あとの二つは何でしょう。

寿:二番目が呼吸法「いきづかい」、三番目は意識
  操作法で「こころづかい」という。

水:ねこ気功は、身体と呼吸と意識を操作するト
  レーニングなんですね。

寿:そうじゃ。これらは別々のものではなくて一体
  になっておるのじゃが、初心者にはひとつずつ
  説明したほうがわかりやすいじゃろう。

水:では、さっそく「からだづかい」から始めます
  か?

寿:まあ、そう急ぐな。一番最初に、人は何のため
  に音楽をするのかというところをきみにたずね
  ておきたいニャ。

水:は? 「何のために」ですか?

寿:うむ。

水:やっぱり「楽しむため」ではありませんか? 
  文字通り音を楽しむのが「音楽」。

寿:ニャるほど。では演奏者が楽しければそれでよ
  いのかニャ?

水:いいえ、聞いている人にも楽しんでもらえたほ
  うがいいですね。

寿:そうじゃろうニャ。つまり、演奏者と鑑賞者の
  良好なコミュニケーションが必要というわけ
  じゃニャ?

水:おっしゃる通りです。

寿:きみのまわりの音楽家は、聴衆と良好なコミュ
  ニケーションをしておるか?

水:それは、プロの音楽家ですか、それともアマ
  チュア?

寿:そんな区別に意味はニャいぞ。楽器を人前で演
  奏すれば、みな音楽家じゃ。

水:えーと…。答えにくい質問ですねえ。

寿:では、たずね方を変えよう。きみのまわりの音
  楽家は、聴衆とのコミュニケーションをどのく
  らい大切に考えておるか?

水:うーん、心の問題なのでたしかなことはわかり
  ませんが、演奏技術のことで頭が一杯の人が多
  いかもしれません。

寿:ニャっはっは。結構、結構。しかし、演奏技術
  だけでは、それは「音」じゃ。まだ音楽になっ
  ておらん。

水:とおっしゃいますと?

寿:テレビ電波を例に考えてみよう。電波はある種
  の電磁波じゃ。そこに「番組」という情報が
  乗っておる。その電波を受像機で再生すること
  で、番組を楽しむことができるんじゃニャ?

水:なるほど、楽器の演奏技術を磨いても、それは
  電波の送信がスムーズにできるだけで、番組が
  おもしろいかどうかとは別だということです
  か?

寿:まあ、そういうことじゃニャ。

水:で、何がおっしゃりたいのですか?

寿:ねこ気功でいう「気」も同じニャんじゃよ。気
  はある種のエネルギーじゃが、そこには情報が
  乗っておる。その情報をやりとりするコミュニ
  ケーションが気功というわけじゃ。

水:では、音楽と気功はそもそも似たところがある
  んですね。

寿:うむ。吾輩の目から見れば、すぐれた音楽家
  は、みなすぐれた気功師でもある。

水:でも、音楽家は気功の動きはしませんし、気を
  出したりしませんが…。

寿:ニャはは。気功はじっとした状態でもできる
  し、気は楽器の先からでも出るぞ。

水:では、レベルの高いミュージシャンは、楽器か
  ら気を出していると?

寿:当然じゃよ。そしてその「気」にはすぐれた情
  報が乗っておる。それが聴衆の心を動かすの
  じゃ。

水:へえ〜! では、どうすれば楽器を使ってそん
  な境地に至れるのですか?

寿:「境地」とはまた大げさじゃが、ここで話は最
  初に戻るのじゃ。からだづかい、いきづかい、
  こころづかいのトレーニングを積むことで、音
  楽と気功はひとつのものになっていく。

水:そして、音を楽しむ、つまり「音楽」ができる
  というわけですね。

寿:そうじゃ。しかも、このトレーニングを積んだ
  者は、普通の人とは「楽しむ」のレベルが違
  う。

水:名演奏家のプレイが身も震えるほど感動的なの
  は、そのせいですか?

寿:ごく初歩的な意味ではその通りじゃ。しかしこ
  の話はさらに奥が深いので、トレーニングを進
  めながら、少しずつ説明していこう。

水:お願いします!

寿:ねこ気功のやり方は、ここ に基本功法として
  まとめてある。その壱の教え「からだづかい
  (身体操法)」をよく読んで、「ねこばしり」
  の練習から入るといいぞ。

水:ねこばしり、ですね…。え〜と…。

寿:なんじゃ、もう忘れたのか。ホントならネット
  を見て勉強せい、と放り出すところじゃが、初
  回だから大サービスしよう。

水:たしか背骨の開発でしたよね?

寿:その通り。大事なのは「背骨」じゃ。まずは、
  からだを前後にゆらすだけでよい。急いではい
  かんぞ。のんびりとじゃ。力んでもいかん。て
  れーっとじゃ。このとき自分の背骨をよく感じ
  てみなさい。

水:あ、思い出してきました。背骨は「一本の棒」
  ではなくて、「いくつも節のある棒」のように
  感じるんでしたよね? ああ、気持ちいい〜。

寿:うむ。言うまでもなく、背骨はいくつもの小さ
  な骨の集合体じゃ。前後にゆらせば「棒のよう
  に」ではなく、「自転車のチェーンのように」
  動く。練習を重ねるにつれて、背骨はだんだん
  しなやかに動き始める。棒からチェーンに、や
  がてはムチがしなるようになる。

水:そうだ、そうだ。この背骨の前後ゆらしが、ね
  こ気功の中心功法「ねこばしり」でした!

寿:テレビでチーターが草原を走る姿を見たことが
  あるじゃろう。チーターもトラもそこらへんの
  野良猫も、走るときの姿は同じ。つまり背骨を
  前後に波打たせながら走るんじゃニャ。

水:老師、もっとくわしく教えていただけません
  か?

寿:ニャはは。興味が出てきたかニャ? では、先
  述のサイトをよ〜く読むように。

水:ふむふむ、そうか邪気を洗い流して背骨をク
  リーニングするんでした!

寿:次号までに、いい背骨を作っておくのじゃよ。
  ふあああ〜、さて、吾輩はまた寝るとしよう。

水:老師! もうちょっと教えてくださいよ。老
  師ってば! 寝るとか目覚めるは超越されてい
  るんじゃないんですか〜? 老師! ギャルと
  のムーディーな会話はどうします〜? ねえ、
  老師〜!

寿:むにゃむにゃ〜。ZZZ…

(つづく)



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  mixiねこ気功コミュに入ろうニャ
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***

【第二回】
2007年1月14日発行 Vol.02

我輩は猫である。名前は、もうある。ヒト呼んで
「寿限無老師」。もちろん本名はずっと長い。寿限
無寿限無五劫の擦り切れ、というアレである。気功
のおかげで不老長寿をエンジョイしとる。あんまり
長生きしたので正確な歳は忘れたけれども、百歳と
も二百歳とも言われるニャ。しかし、今でもお色気
は大好き。今日もレディーたちと夢のようなデート
を楽しんでおったのじゃが…


水:老師!老師!ああ、すっかり寝ちまって、どー
  しようもないなあ…けっとばしちゃえ!

寿:いてて!ニャ、ニャにをするんじゃ!!
  
水:おはようございます。修行の時間でございま
  す。

寿:ああ、そっか…ちぇ、オネエちゃんたちに囲ま
  れてたのになあ。

水:…あいかわらずお盛んですね。あたしゃもう枯
  れはじめてますが(苦笑)。

寿:いつも言っておるように、「性は生なり」、そ
  して「性は聖なり」ニャんじゃ。

水:セクシャルなエネルギーは生命力そのものだと?

寿:その通り! これは「ねこばしり」で使う「ぬ
  るぬるの意識」とも関係しとるんじゃニャ。

水:え、「ぬるぬるの意識」がですか?

寿:うむ。きみはどうして「ぬるぬる」が必要か、
  わかっておるかニャ?

水:えーと、背骨をいい状態にするためにオイルを
  塗る。そのオイルの代わりに「ぬるぬるの意
  識」を使うんでしたよね?

寿:その通りじゃ。しかし、さらに深い理由もある
  んじゃ。

水:といいますと?

寿:生命現象が活発に行なわれているところは、
  「ぬるぬる」しておるのじゃ。

水:はあ…。

寿:カエルでもニワトリでも、卵は「ぬるぬる」し
  とるじゃろう?

水:そういえば、たしかに。

寿:哺乳類も、生殖器官は粘膜でできていて、よい
  状態の時は「ぬるぬる」しておる。

水:なるほど〜!

寿:「私、彼と『ぬるぬる』の恋をしてるの」と女
  の子が言ったら、どう思う?

水:…なんだか、とってもいやらしくて、いい感じ
  がしますね。えへへ。

寿:ニャははは。たしかにちょっとエッチっぽいか
  もしれんが、少なくともこのカップルはうまく
  いっておるニャ。

水:そうですね。「彼とカサカサの恋をしている
  の」だと、別れは近そうですもの(笑)

寿:つまり、「ぬるぬる」とはセクシャルなもので
  あり、生命力あふれるものニャんじゃ。

水:だから、ねこ気功ではそれを重視するんです
  ね。

寿:「ぬるぬる」の質感の中で、生命力を高めてい
  くというわけじゃニャ。

水:おお、老師! なんだかぬるぬると興奮してき
  ましたよ。

寿:よし、生命力が高まってきた証拠じゃ。

水:はい! では、今日のレッスンをお願いしま
  す。

寿:前回は、管楽器奏者に向けたアドバイスとして
  三つのポイントをあげ、その一番目「からだづ
  かい」について話した。

水:今日は二番目のポイントですね。

寿:うむ。二番目は「いきづかい」じゃ。くわしい
  やり方は、ここ に基本功法としてまとめてあ
  る。弐の教え「いきづかい(呼吸法)」をよく
  読んで、「ねこなき」の練習をしなさい。

水:はい! え〜と、ニャンニャンニャ〜ンって言
  うんですね。なんだか恥ずかしいな。

寿:どうして?

水:だって、ばかばかしいし、こんなことをやって
  管楽器がうまくなるなんて、信じられないです
  よ〜。

寿:それがいいんじゃニャいか。

水:え〜? どうしてですか?

寿:ばかばかしいからこそ、リラックスして身体の
  力がぬける。のんび〜りと「ねこじかん」、て
  れ〜っと「ねこだれ」の状態をもたらしてくれ
  るんじゃニャ。

水:どうしても声を出さなくちゃだめですか?

寿:比較してみればわかるが、声を出さずにやるよ
  り、ニャンニャンニャ〜ンと言ったほうが、よ
  り効果が高いんじゃ。

水:でも、抵抗あるなあ。

寿:無声音でもいいぞニャ。

水:やった! ほんとですか?

寿:恋人の耳元でささやくように、そっと無声音で
  ニャンニャンニャ〜ンをやってごらん。

水:(やさしく)ニャンニャンニャ〜ン、スーッ、
  ニャンニャンニャ〜ン、スーッ。おや、これだ
  と恥ずかしくないし、気持ちいいですね。

寿:三つめのニャ〜ン、これを「三の鳴き」という
  が、こいつをできるだけ長くしてみニャ。

水:ニャン、ニャン、ニャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン
  …老師、もりもりと活力が湧いてきました。

寿:それが「ねこなき」のおもしろいところニャん
  じゃ。長く、深く息を吐くことで、肺の奥にた
  まった古い息が新鮮な酸素と交換される。そし
  て、細胞内ではエネルギーが生まれる。

水:身体も軽やかに感じますよ。

寿:内蔵がマッサージされて、腹部のうっ血が解消
  するので血行がよくなるからニャ。

水:これは管楽器にもいいんですか?

寿:もちろんじゃ。「ねこなき」そのものは演奏用
  の呼吸ではニャいが、楽器を吹くときに使う呼
  吸筋群を整えるんじゃ。

水:そうか! いつもは自分の呼吸を自分の身体が
  ブロックしているような感じでしたけど、今は
  その障害が取り除かれたみたいです。

寿:楽に深く吸えるし、気持ちよく吐けるじゃろ
  う? 

水:はい。「ねこなき」をくりかえし練習すれば、
  呼吸のコントロール能力も鍛えられそうです
  ね。

寿:そうじゃよ。だから、「ねこなき」は間接的に
  管楽器演奏の助けにニャる。くわしくは先述の
  サイトを参考にして欲しいが、「ねこじかん」
  「ねこだれ」そして「ぬるぬるの意識」で「ね
  こばしり」をやって、「ねこなき」まで来た
  ら、君の心身はほぐれて開放的になっているは
  ずじゃ。

水:はい、とってもオープンな気分です。

寿:昔からメディテーションと呼吸法は深い関係が
  ある。きみの感じているオープンな気分は、あ
  る種の瞑想状態ニャんじゃ。

水:え! 瞑想ってこんなに簡単なんですか?

寿:もちろん、浅い瞑想状態じゃがニャ。

水:で、音楽と瞑想とは、どうつながるんですか?

寿:そのことを本格的に語るのは、第三のポイント
  「こころづかい(意識操作法)」の機会にゆず
  るが、今日は楽器練習とメディテーションにつ
  いて話そう。

水:練習に瞑想が必要なんですか?

寿:その通りじゃ。「日常生活の意識」と「練習の
  意識」とは、きちんと分けたほうがよい。モー
  ドが違うといってもいいかニャ。

水:つまり「練習モード」になれと?

寿:そう。日常モードで練習しても、なかなか上達
  しないばかりか、逆に悪いクセがつきかねニャ
  い。静かに落ち着いて、心身ともに開放された
  練習モードになってから楽器をケースから出し
  たほうがよいニャ。

水:なるほど。

寿:江戸時代の剣術家が、強くなるために座禅修行
  を積んだという話を知っておるか?

水:はい。でも、あれはメンタルコントロールのた
  めだと思っていました。

寿:それもあるが、高いレベルでは心と身体は区別
  できニャい。実際、座禅という瞑想を繰り返す
  過程で、身体の動きや技も高まっていったと考
  えられるんじゃ。

水:へえ〜!

寿:では次号までにたっぷり「ねこなき」をやっ
  て、練習モードを作っておくのじゃ。ニャン
  ニャンニャ〜〜〜〜〜〜〜ンとな。わかった?
  では、吾輩はまたオネエちゃんたちに会いに行
  くのでニャ。おやすみ…

水:あ、また寝ようとしてる! ちょっと老師、も
  うちょっとくわしく教えてくださいよ! 老
  師ってば〜!

寿:むにゃむにゃ、おお、セクシーじゃニャいか!
  おお! おおお! ZZZ…

(つづく)


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***


【第三回】
2007年5月24日発行 Vol.03

吾輩は猫である。名前は、もうある。ヒト呼んで寿
限無老師。吾輩の創始した「ねこ気功」は、身体の
使い方(からだづかい)、呼吸法(いきづかい)そ
して、意識の使い方(こころづかい)の三部から成
り立っておる。これまで、からだづかいといきづか
いを説明してきたが、いよいよ音楽家のためのメ
ディテーション「こころづかい」に入るぞよ。


寿:道歌というものを知っておるか?

水:ドウカですか? どうかなあ…

寿:(ズッコケる)…ニャんじゃ、いきなりダジャ
  レかい!

水:季節はずれのダジャレですみません。

寿:ん? ダジャレに季節があるのかニャ?

水:はい、やっぱりダジャレー・ヌーヴォーを飲み
  ながらが最高かと。きゃはは!

寿:お、そりゃ、まんざら無関係ではないぞ。道歌
  は、道徳や武道の精神を詠んだ教訓歌じゃから
  ニャ。

水:なるほど、「ぶどう」の精神ですか、こりゃ参
  りました!

寿:ニャハ、決まったニャん!

水:で、道歌にはどんなものがあるんです?

寿:たとえばこうじゃ。

  稽古をば 勝負するぞと思ひなし 
  勝負は常の 稽古なるべし(直心影流)

水:あの〜それはアレですか、虫封じのオマジナイ
  かなんかですかね?

寿:これ、ボケもたいがいにせえ。勝負の心得をま
  とめたありがたい歌じゃニャいか。

水:へえ〜、どういう意味です?

寿:稽古つまり練習のときは、それを勝負つまり本
  番のようなつもりでやりなさい。

水:はあ。

寿:そして、いざ本番にのぞんだら、いつもやって
  いる練習のようなつもりでやりなさい、という
  ことじゃニャ。

水:いわれを聞けばありがたや。ナマンダブナマン
  ダブ…。

寿:こりゃ、拝むやつがあるか。さて、ここで問題
  になるのが、「勝負のつもりで」とか「練習の
  つもりで」という意識の操作じゃ。

水:そうですよね。いきなり「つもりで」と言われ
  たって無理ですよ。

寿:うむ、そこに参の教え「こころづかい」を練習
  する必要が生じるのじゃニャ。

水:ネット で予習はしてみたんですけどね、イマ
  イチわからないんですよ。

寿:そう思って、今日は別の角度から説明しようと
  思うぞよ。

水:よ、待ってました!

寿:これから述べることは、最終的には音楽家がス
  テージで聴衆の心をどのようにしてつかむか、
  という話になる。

水:それは連載の第一回で老師がおっしゃった「演
  奏者と鑑賞者の良好なコミュニケーション」の
  ことですか?

寿:お、覚えておったか。感心感心。まずは全体像
  をつかむために、能楽を例にとって説明する
  ぞ。

水:能楽って、お能のこと?

寿:うむ。能楽は舞台芸術の大先輩として、参考に
  すべき点がたくさんある。ここでは能楽師の梅
  若猶彦氏のケースを参考にしながら説明を始め
  るぞ。

水:はい、よろしくお願いします!

 参考文献:
 「息のしかた 
  ー きもちいい生活のための呼吸法」
 刊:朝日新聞社 著:春木 豊/本間生夫

寿:梅若氏によれば、能楽の名人たちは鍛錬の過程
  で「身体の様相が変わる」のに気付き、これを
  芸術体系に組み入れた。

水:身体の様相?

寿:たとえば「悲しみ」にはその感情に対応する身
  体の様相があり、「名月を見ているとき」に
  は、それに対応する様相がある。つまり、実際
  はそこに「悲しみ」も「名月」もないのだけれ
  ども、それを経験しているときと同じ身体の状
  態に、能楽師は自分を変化させることができる
  というわけじゃ。

水:へえ〜! それなら「稽古を勝負すると思いな
  す」なんて朝飯前ですね。

寿:細かい話は省略するが、梅若氏の説明を要約す
  ると、おおむね以下のような手順を踏んでいる
  と考えられる。

  手順一:毎日、呼吸法と瞑想を鍛錬する。
  手順二:自己内に意図的な変化を起こす。
  手順三:それを自分で体感する。
  手順四:身体が表現体として語り始める。

水:身体が表現体として? どういうことですか、
  そりゃ?

寿:まあまあ、そんなに先を急ぐな。じっくり説明
  するからニャ。手順一はおくとして、手順二
  「自己内に意図的な変化を起こす」とは、たと
  えば「普通の状態」から「悲しみの状態」へ心
  を変化させるようなことじゃ。

水:悲しみを演じるわけですね。

寿:たしかに「演じる」のじゃが、表面的にそれら
  しく見せるということではニャい。能の演者は
  面をかぶっているので、表情で悲しみを見せる
  ことはできないしニャ。

水:なるほど、そうですね。

寿:このとき、演者の脳内情報には大きな書き換え
  が起きて、心の底から「悲しみ」の状態に包ま
  れていると考えられる。

水:精神そのものが、完全に変化しているというこ
  とですね

寿:そうじゃ。そのうえで、手順三「それを自分で
  体感する」。書き換えられた脳内情報に身体が
  反応し、身体もまた「悲しみ」にひたりきった
  状態になるのじゃ。

水:つまりその「悲しみ」という脳内情報に強い臨
  場感を得て、演者はその感情をリアルに体験し
  ているんだ!

寿:そして手順四「身体が表現体として語り始め
  る」とは、能楽師が描き出した「悲しみ」とい
  う仮想世界を、鑑賞者が共有し始めるのじゃ。

水:いったいどうやって共有するんです?

寿:順を追って説明するから待てというに! とに
  かく、この一連のプロセスをまとめると、「日
  常の鍛錬→意識操作→実感→共有」いう流れに
  なっておることを、ここでは理解するのじゃ。

水:はい、そこまではわかりました。

寿:では「自己内に意図的な変化を起こす」という
  意識操作は、具体的にはどのようにするのか、
  そのあたりから掘り下げようじゃニャいか。最
  初に理解すべきなのが「ハイファイ意識」
  じゃ。

水:はいはい?

寿:ハイファイ! ハイ・フィデリティの略。オー
  ディオ用語でもあるな。次回はこのハイファイ
  意識について、そしてそれを自在に作るための
  方法について講義するぞよ。

(つづく)



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【第四回】
2007年8月23日発行 Vol.04

吾輩は猫である。名前は、もうある。ヒト呼んで寿
限無老師。吾輩の創始した「ねこ気功」において、
意識の使い方(こころづかい)は最重要項目じゃ。
音楽家の役に立つメディテーションを伝授するぞ。
まずは心の構造を知ることから始めよう。


水:前回は「ハイファイ意識」という名前が出てき
  たところまででしたね。

寿:ハイハイ!

水:ハイファイでしょ。 ボケてないで続きを説明
  してくださいよ。

寿:ニャはは。ハイファイ意識は、ねこ気功の専門
  用語じゃ。これは日常意識とは異なる状態で、
  深いリラックスと鋭い集中がうまくバランスの
  とれた意識のことをいう。

水:それって、脳波のアルファ波みたいなものです
  か?

寿:うむ、それも近い。しかし、ねこ気功的に重要
  なポイントがある。それは「ねこじかん」と
  「主客転倒」じゃ。

水:「ねこじかん」は、からだづかいの最初にやり
  ましたね。のん〜びりすること。シュキャクテ
  ントウってなんですか?

寿:たとえば「ねこばしり」をするとしよう。最初
  のうちは「私が背骨を動かす」ことになるが、
  それがある時点から「背骨が私を動かす」よう
  な意識状態へ変化する。

水:なるほど。文字通り主客が入れ替わったように
  感じるんですね。

寿:このように「のんびり」「主客転倒」しながら
  「高度な集中」状態にあるとき、これをハイ
  ファイ意識と呼ぶのじゃ。

水:ハイファイ(HiFi)は、オーディオ用語ですよ
  ね。ハイ・フィデリティ(High Fidelity)の略
  で、原音を忠実に再生する「高忠実度」を意味
  するはずですが。

寿:そう、意識がハイファイ(高忠実)とは、心が
  情報を忠実に反映すること。つまり与えられた
  情報を「あるがままに」とらえ、ダイレクトに
  反応できる状態じゃ。

水:そうするとどうなるんです?

寿:たとえば、みずから描いたイメージなど仮想世
  界の情報に対しても「現実味」を感じるのじゃ
  ニャ。

水:ははあ。つまり、頭で作った「悲しみ」が臨場
  感あふれるものになるためには、ハイファイ意
  識が前提となっているということですね!

寿:ハイハイ。

水:(ズッこける)こーゆーとこでボケないでほし
  いなあ。

寿:ニャはは。ユーモアは人生の潤滑剤じゃ。

水:しかも老師は「人」じゃないし!

寿:ひと口にハイファイ意識といっても、この境地
  に至るのは簡単ではニャい。

水:そうでしょうね。

寿:前号で紹介した能楽師の梅若氏の場合、立禅
  (立った姿勢で行なう瞑想)と腹式呼吸の鍛錬
  を毎日行なうそうじゃ。ハイファイ意識を自在
  に作れるようになるためじゃろうニャ。

水:ねこ気功でいうと、呼吸法(いきづかい)と瞑
  想(こころづかい)を練習するわけですね。

寿:うむ。その具体的な方法を話す前に、もう少し
  梅若氏のケースを分析しよう。

水:お願いします。

寿:ハイファイ意識下で「悲しみ」を描き出したと
  き、それがリアリティの高いものであればある
  ほど、演者の身体は「悲しい状態」になる。

水:心身ともに「悲しい」ということですね。

寿:その通りじゃ。さて、ここで人間の心身には、
  「共鳴」のメカニズムがあることを理解しなく
  てはならん。

水:共鳴…、ですか?

寿:たとえばじゃ、社会心理学でいう「同調現象」
  を知っておるか。

水:いいえ。

寿:同調とは、人々の意見がある一定方向に傾いて
  いくことをいう。

水:まわりの人とついつい同じ行動をしてしまうよ
  うなことですか?

寿:まあ、そうじゃニャ。同調は、行動レベルでも
  起きるが、生体リズムでも起きることが知られ
  ておる。

水:生体リズムというと?

寿:大学や会社の女子寮で共同生活をしていると、
  いつのまにかお互いの生理周期が同じになって
  くる「ドミトリー効果」という現象がある。

水:へえ〜、びっくりですね!

寿:生理のような長い周期の生体リズムばかりでな
  く、分単位や秒単位でも同調は起きる。たとえ
  ば同じ部屋で長く一緒に話しているだけで、人
  間は呼吸や心拍数、まばたきの回数が同期して
  くるのじゃニャ。

水:同調は、群集心理とかファッションの流行とも
  関係してるんですかね。

寿:関係あると考えられるが、同調のメカニズムは
  複雑なので、さらに多くの研究が必要じゃろ
  う。ここでは、人間には生理的同調が起こりう
  るということを確認するにとどめ、それを「共
  鳴」と呼ぼう。

水:共鳴ということは、理屈で納得するのではなく
  て、身体が勝手に同調してしまうというニュア
  ンスを感じますね。

寿:お、いいぞ。正確には「身体が」ではなく「心
  身が」じゃがニャ。

水:心も身体も勝手に共鳴してしまう?

寿:うむ。ここにAさん、Bさんという二人がいると
  しよう。この二人の心身が同調するとき、どっ
  ちがどうなると思うかニャ?

水:足して二で割ったあたりに落ち着くんですか?

寿:ニャはは。正解は「弱いほうが強いほうに同調
  する」じゃ。

水:弱いとか強いとかって、何がですか?

寿:人間は、強いもの、大きなもの、豊かなもの、
  すぐれたものなどに影響を受けやすい。「朱に
  交われば赤くなる」というじゃろう?
 
水:はあ。

寿:気功的に表現すれば「気」じゃが、もっと一般
  的な表現なら「意識」じゃニャ。たとえばAさ
  んの意識が、強く、大きく、豊かで、すぐれて
  いるほど、Bさんに与える影響力は強いのじゃ
  よ。

水:あ、そこでハイファイ意識が出てくるんです
  ね!

寿:お見事。その通りじゃ。

水:演者がハイファイ意識下で「悲しみ」を描き出
  し、身体が「悲しい状態」になったら、鑑賞者
  はその状態に共鳴するんだ!

寿:もちろん、そこへうまく誘導するには、いろん
  な条件を整える必要があるけれども、だいたい
  それであっておるぞ。

水:梅若氏の「手順四:身体が表現体として語り始
  める」とは、このことですね。

寿:そうじゃ。したがって、演者は自分の意識をど
  こまで「ハイファイな」状態にできるかによっ
  て、鑑賞者との心理的決闘に勝つか負けるかが
  決まるとも言える。

水:舞台ではお客さんを「のめ」といわれますけ
  ど、その前提が強力で上質なハイファイ意識な
  んだ。

寿:舞台・客席という空間を制する力、それは「意
  識のハイファイ化による共鳴力」と考えれば理
  解しやすいじゃろう。

水:でも、具体的にはどう練習すればいいんです
  か?

寿:そこでメディテーション「ねこおもい」の登場
  となるのじゃよ。

(つづく)


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***


【第五回】
2007年11月24日発行 Vol.05

吾輩は猫である。名前は、もうある。ヒト呼
んで寿限無老師。音楽家は舞台でお客さんを
「のめ」といわれるが、その前提となるのが強
力で上質な意識状態。これが舞台・客席という
空間を制する力を生むのじゃ。では、そういう
強い意識をどのように育てていくかについて語
ろうかニャ。

水:人間の心身には「共鳴」のメカニズムがあ
  るんでしたね。

寿:うむ。

水:共鳴とは、理屈で納得するのではなくて、
  心身が勝手に相手と同調してしまう現象
  で、意識の強い方が弱い方に影響を与える
  ということでした。

寿:吾輩が若いおネエちゃんに強い影響を受け
  るのは、そっちの方面では吾輩の意識が弱
  いからじゃ。ニャはは。

水:もう、老師ったら、ふざけてないで、どう
  やったら「強い意識」を作れるのか、練習
  方法を教えてくださいよ! 

寿:ニャはは。では、まず、思いっきり大きい
  ものを思い浮かべてごらん。

水:え、大きいものですか? 神楽坂飯店の一
  升チャーハンとか?

寿:ニャんじゃ、スケールが小さいのう。

水:えーと、豪邸とか、東京タワーとか…

寿:うむ、いいぞ、いいぞ。

水:大聖堂、パルテノン神殿、奈良の大仏、あ
  とは、えーと、えーと…

寿:自然のものでもいいぞよ。

水:あ、富士山だ。エベレストもある。あと、
  アマゾンの密林とか。

寿:うむ、結構じゃ。しかし、まだまだスケー
  ルが小さい。どうして地球とか、太陽系と
  か、銀河系とか、宇宙とか、そういうもの
  が浮かばんかのう。

水:あ、たしかに。これはアタシの人間の器が
  小さいってことでしょうか。

寿:それはある意味ではあたっておる。どれだ
  け大きいものを思い描けるかは、その人の
  想像力の限界を示しておるからニャ。

水:とほほ。よ〜し、思いっきり大きなものを
  考えてやるぞ〜。練習だ!

寿:ところで、大きなものを心に思ったとき、
  どんな感じがするかニャ?

水:そうですね、なんだか自分まで大きくなっ
  たような気分でしょうか。

寿:ほう。では、きみはいろんな街の中心にタ
  ワーがあったり、教会の天井が高かった
  り、山岳信仰が生まれたりするのは、偶然
  だと思うかニャ?

水:おお! たしかに、大きなものは信仰の対
  象になっていますね。

寿:人間は大きなもののそばにいたり、それを
  心に描いていると、安心感を得るんじゃ。

水:へえ、そうなんですか!

寿:これに「共鳴」のメカニズムを組み合わせ
  るのが、他者の心をリードする第一歩にな
  るんじゃ。

水:そうか「強い意識」とは、たとえば大きな
  意識のことなんですね!

寿:サエとるのう。その通りじゃ。いい子いい
  子してやろう。ニャゴニャゴ。

水:えへへ…。

寿:もちろん、大きいだけが「強い意識」では
  ニャいぞよ。たとえば「重い」でもよい。
  腹の中にボーリングの玉があると想像して
  ごらん。

水:ええ〜? ボーリングですか? うーん、
  なんだかどっしりとした感じです。

寿:精神状態はどうじゃニャ?

水:そうですね、落ち着いているというか、
  堂々としているというか…

寿:それがいわゆる「ハラができた」状態ニャ
  んじゃ。専門的には「丹田が効いた」状態
  ともいう。

水:つまり、大きいだけでなく、ものすごく重
  いイメージでもいいわけですね。

寿:「強い意識」には、大きさ、長さ、重さ、
  なめらかさ、心地よさ、複雑さ、明確さな
  どいろんな要素があるんじゃ。

水:ということは、心の中に、なにか圧倒的な
  スケールのものを、強く思い描けばいいと
  いうことになりますね。

寿:うむ。そのような強い意識を持った者は、
  周囲の人間の心に、実際は「心身に」じゃ
  が、影響を及ぼし始める。

水:共鳴現象が起きるんですね。

寿:そして、大きいものとか重いものは、ただ
  のイメージであるよりも、たしかな身体感
  覚をともなうものになると、さらに影響力
  は強くニャる。

水:とすると、なるべくシンプルなもの、実感
  を得やすい身近なものを思い描くほうがう
  まくいきそうですね。

寿:その通り。だから初心者には「大きな山」
  とか「ボーリングの玉」とか具体的なもの
  を思い浮かべるほうが取り組みやすいん
  じゃよ。ところで吾輩の名前と同じ題名の
  「寿限無」という落語があるじゃろ。

水:私の名前「水行末」も出てきますよね。

寿:あの中に「五劫(ごこう)のすりきれ」と
  いう言葉があるのを知っておるか。

水:はい。劫(こう)とは、ものすごく長い時
  間のことですよね。たしか「一劫」は一辺
  160kmの岩を3000年に一度天女が舞い降り
  て羽衣で撫で、岩がすりきれてなくなって
  しまうまでの時間だったような。

寿:まあ、気の遠くなるような長い時間のこと
  じゃニャ。大事なのは、こういう信じられ
  ないほど長い時間の単位をイメージする想
  像力じゃ。

水:なるほど。大きいものを想像しろといわれ
  て、一升チャーハンなんて答えているよう
  では、やっぱり小物だということか…。

寿:まあ、そう悲観することはニャい。イメー
  ジ能力は訓練しだいで、いくらでも発達さ
  せることができるからニャ。

水:では、音楽家が聴衆の心へ訴えるために、
  具体的にはどんな練習をすればいいんで
  しょうか?

寿:いよいよ核心にせまってきたニャ。まず、
  ねこばしり、ねこなきなどで、軽いハイ
  ファイ意識を作り出す。

水:そこまではお手のものです。毎日練習して
  ますからね。

寿:そのうえで、とてつもなく大きなものを思
  い浮かべるのじゃ。本格的に取り組むつも
  りなら、吾輩がお薦めしたいのは、身体の
  「芯」じゃ。

水:芯ですか! シンじられな〜い!

寿:(ずっこける)こりゃ、まじめにやれ。
  ま、寒いギャグは地球温暖化を救うという
  説もあるから大目にみようかニャ。

水:そんな説ありませんてば(笑)

寿:身体の中央を上下に貫く「芯」、これをど
  こまでもどこまでも長く伸ばすのじゃ。

水:自分の身体の外に伸ばすんですね。

寿:そう、下は地球の中心まで。上はとりあえ
  ずお月さんくらいまで伸ばしてごらん。

水:ひええ〜! けっこう難しいですねえ。

寿:天と地と人を芯で結ぶ。ねこ気功ではこれ
  を「天地人芯」と呼ぶ。ハイファイ意識下
  で天地人芯を作る練習を繰り返すと、まず
  心が澄んでくる。そして気持ちが落ち着く
  のを感じるじゃろう。

水:たしかに、この状態でステージに出れば、
  アガるなんてことはなさそうです。

寿:この状態をいつでも自分の心身に作り出せ
  るようにする。これが梅若氏のいう「手順
  二:自己内に意図的な変化を起こす」そし
  て「手順三:それを自分で体感する」とい
  うところの具体的な練習方法じゃ。

水:なるほど、芯を伸ばす、芯を伸ばす…。

寿:それじゃ、次回までによ〜く練習しておく
  ように。吾輩は「秘伝ねこあそび瞑想」で
  おネエちゃんたちとヴァーチャル修行には
  げむんでな。

水:あ、またこれだよ。老師! ぼくの姿勢の
  チェックをしてくださいよ! ねえ老師っ
  たら〜!

寿:ニャん、ニャん、ニャん♪ ニャはは!
  むにゃむにゃ、ZZZ…。

(つづく)



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***

【第六回】
2008年1月23日発行 Vol.06

吾輩は猫である。名前は、もうある。ヒト呼
んで寿限無老師。たとえば「海」をテーマに
した曲を演奏するとき、海のイメージを思い
描く必要があるかニャいか。きみはどう思う?
今回はそういう話じゃよ。

水:実際に曲を演奏するときに、心では何を
  思えばいいんですか? たとえば「花」が
  テーマの曲は花を、「海」がテーマの曲で
  は海を思い浮かべるとか。

寿:そうすれば効果があると思うかニャ?

水:いえ、とても効果があるとは思えないんで
  すよ。だってただのイメージですもん。

寿:ニャはは。

水:でもね、たしか絵を描く人のための格言で
  こんなのがあったような。「竹を描くには
  かならずまず成竹(せいちく)を胸中に得
  (う)」と。竹の絵を描こうとするなら、
  まず心の中に完全な竹のイメージを思い浮
  かべ、それから筆を取りなさい、という意
  味ですよね。

寿:つまり演奏家がイメージを描いただけで、
  そのイメージを聴衆と共有できるか、専門
  用語でいうなら「共鳴」するか、というこ
  とが聞きたいのじゃニャ?

水:そうです、まさにそれです!

寿:その答えは、前号までを読めばわかるはず
  じゃがニャ。

水:といいますと?

寿:ニャんじゃ、わからんのか。不肖の弟子を
  持って吾輩は悲しいぞよ。

水:すみません、そう言わずに教えてください
  よ。お願いしますよ〜。

寿:よかろう。海を演奏するときに海を思い描
  くかどうか。意識操作の観点からは、イエ
  スともノーともいえるニャ。

水:はあ…。

寿:いくつかのレベルで説明が必要じゃが、ま
  ず日常生活の意識レベルでいえば、答えは
  「ノー」じゃ。

水:つまり頭で海のことを考えながら演奏した
  からといって、演奏には影響しないという
  ことですね。

寿:いかにも。

水:では、どういうときに答えが「イエス」に
  なるんでしょうか?

寿:もっと深い意識レベルにおいてじゃニャ。

水:不快な意識ですか?

寿:不快ではニャい、「深い」じゃ! まじめ
  にやらんと教えんぞ。

水:すみません、なにか無理やりにでもギャグ
  をやりたい体質なもので…。

寿:まず、あらためて確認しておきたいのは、
  人間は他者と「意識場」を共有しうるとい
  う事実じゃ。他人と自分はまったく別の意
  識を持っているようでありながら、時とし
  て同じ意識場を共有することが経験的に知
  られておる。

水:だからある特定の条件が整ったとき、人間
  の意識は「共鳴」現象を起こすんでした。

寿:その通り。わかりやすくいうと、複数の人
  間が、実際にはそこにないものを「現実」
  として見たり「印象」として感じたりする
  のは、十分に起こりうることニャんじゃ。
  このとき脳はどうなっていると思う?

水:オウ、ノー!

寿:(むっとして)吾輩は帰るぞ!

水:あ、やだなあ、罪のないギャグじゃありま
  せんか。老師も人間が、というか猫ができ
  ているわりに短気なんだから。

寿:(気をとりなおして)共鳴現象が起きてい
  るとき、各人の脳内の情報はみな似た状態
  になっていると考えられるのじゃよ。

水:へえ、なるほど〜。

寿:そしてその脳内状態に強い実感(リアリ
  ティ)を感じた場合、人間の脳はそれを
  現実と区別することが難しくなることが知
  られておる。

水:軍隊やカルトの洗脳って、そうやるんじゃ
  ないですかね。

寿:その通りじゃ。政治や広告における情報操
  作も、これらの人間心理に関する知識を
  ベースに立案・実施されていると考えるべ
  きじゃろうニャ。

水:で、それと海のイメージはどうつながるん
  ですか?

寿:本当にニブイやつじゃニャ。ここまで説明
  すれば答えを言ったのも同じじゃろう。

水:すみません、飲み込みが遅いもんで…。

寿:たとえば演奏家が海のイメージをものすご
  く強く、深く、大きく、たくましく描き、
  あたかも自分が海そのものであるかのよう
  に感じながら演奏した場合はどうなると思
  うかニャ?

水:ははあ、前号でやった「強い意識」ってや
  つですね。

寿:お、少しは覚えておるようじゃニャ。

水:強い意識を持っている者に、弱い意識の者
  は共鳴してしまうんでしたよね。

寿:そうじゃ。その強烈な意識状態が周囲の人
  間の意識場に影響を及ぼすため共鳴現象を
  引き起こす可能性が高まるのじゃ。

水:だとすると、その場にいる聴衆は、演奏者
  が描くリアルな海のイメージを脳内情報と
  して共有し、そこに海を感じることになる
  わけですね。

寿:ところがおもしろいことに、聴衆はそれを
  自覚するとは限らないのじゃ。

水:え? 自覚しない?

寿:潜在下ではたしかに海のイメージを共有し
  て、それに強く影響を受けているにもかか
  わらず、顕在意識でそれを自覚しないケー
  スが多いのじゃ。

水:するとどうなります?

寿:こういう場合は、海を感じるというより、
  「えもいわれぬ迫力」とか「不思議な感
  動」を覚えることになる。もちろんはっき
  り自覚的に海を感じる場合もあるじゃろう
  がニャ。

水:ということは、海を思い描くといっても、
  頭でイメージを浮かべる程度ではダメで、
  全心身で海をリアルに感じる必要があると
  いうことでしょうか。

寿:うむ。能楽の世界では、このような現象に
  早くから気づいていて、それを技芸の訓練
  体系に取り入れていたようじゃ。また、舞
  踊や演劇などの舞台芸術でも、明示的か暗
  示的かを問わず、さまざまな表現技術の一
  部として研究され、ノウハウが蓄積されて
  きたと考えられるニャ。

水:音楽の世界にはないんですか?

寿:すぐれた演奏家が個人的な技術としてこの
  テクニックを使用していたのは間違いない
  じゃろうが、それが体系的ノウハウとして
  伝わっているかどうか…。

水:では「ねこ気功」は、音楽表現における意
  識操作体系化のさきがけとなるんですか?

寿:さきがけかどうかはともかく、微力ながら
  お手伝いさせてもらおうかニャ。次回はい
  よいよ「上意識」「下意識」の話に入るの
  で、しっかりニャ。

水:はい!

(つづく)


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***


【第七回】
2008年5月24日発行 Vol.07

吾輩は猫である。名前は、もうある。ヒト呼
んで寿限無老師。きみは自分の心をどれくらい
理解しているか。自分の心をコントロールでき
ると思うかニャ? 今回は「上意識」「下意
識」の話をするぞよ。

水:前回、演奏者が強烈に「海」のイメージを
  思い描いた場合、鑑賞者は「潜在下で」そ
  れを共有し、強く影響を受けるとうかがい
  ました。

寿:うむ。そしてほとんどの場合、鑑賞者はそ
  の「共有」を自覚しないとニャ。

水:そのあたり、もう少しくわしく説明してい
  ただけませんか?

寿:よかろう。まず、人間は、というかこの世
  のすべての存在はじゃが、もともと「意識
  場」を共有しておることを理解しなくては
  ならんぞ。

水:ちょ、ちょっと待ってください。人間以外
  にも「意識」があるんですか!?

寿:もちろんじゃ。吾輩は猫じゃが意識がない
  と思うかニャ?

水:老師は別ですよ。でも、石ころとか自動車
  とか、そういうものにも意識があるんです
  か?

寿:うむ、たしかにある。しかしここではそれ
  に深入りせず、とりあえず人間の意識につ
  いてのみ語ろう。あらゆる人間は、意識の
  場、つまり「意識場」をもともと共有して
  生きておる。だからこそ共鳴という現象が
  起きるのじゃ。

水:え〜と、よくわかりませんが…。

寿:ここで上意識と下意識について話さねばな
  らんじゃろうニャ。

水:ジョウイシキ、カイシキですか?

寿:これもねこ気功の専門用語じゃ。一般には
  顕在意識と潜在意識と呼ばれているものに
  似ておる。

水:ああ、それなら知ってます。ねこ気功の
  「上意識」「下意識」は何が違うんです
  か?

寿:ねこ気功でいう上意識とは、いま現在自分
  が自覚している情報のことじゃ。たとえば
  きみは吾輩の言葉を上意識で処理している
  が、まわりの空気の温度や湿度については
  まったく関心を向けていないじゃろう?

水:あ、たしかにそうですね。

寿:空気の温度・湿度は、感覚情報としてはき
  みの皮膚からたしかに入力されておる。し
  かし、きみはその情報を自覚していない。
  そういう情報は、きみの下意識にあるわけ
  じゃニャ。

水:なるほど。でも、そうすると上意識の情報
  というのは少ないし、下意識には膨大な情
  報があるということになりませんか?

寿:その通りじゃ! よいところに気づいた。
  いい子いい子してやるぞニャ。

水:えへへ…。

寿:少なく見積もっても、上意識と下意識の情
  報量の比率は「1:100万」くらいになると
  いわれておる。

水:ええ〜! 1:100万ですか? ということ
  は、私たちはすごく狭い情報世界で生きて
  いるわけですね。

寿:いかにも。実際その通りニャんじゃ。人間
  は、まわりのことも自分のことも、ほとん
  どなにもわかっていないのじゃよ。

水:たとえていえば、真っ暗な部屋をライトで
  照らしているような感じですかね。光のあ
  たっているところが上意識で、部屋の暗い
  ところが下意識…。

寿:なかなかよいたとえじゃ。しかし、それで
  もまだ不十分じゃろうニャ。下意識がアマ
  ゾンの大密林で、上意識が小さな豆電球く
  らいのスケールで考えたほうがいいぞ。

水:ひぇ〜〜! 私たちの意識って、そんなに
  狭いところしかとらえてないんですか!

寿:じゃから、いろんな宗教で「まず汝を知
  れ」と教えるんじゃないかニャ? 

水:で、それが意識場の共有とどう関係するん
  ですか?

寿:下意識というのはとてつもなく広い情報世
  界だと考えればよい。そして、それは底の
  ほうでつながっておる。

水:は? なにがつながっているんです?

寿:全人類の意識同士がじゃよ。

水:あ、それって、ユングのいう集合的無意識
  というやつですか? 

寿:まあ、そのようなものと考えてよいじゃろ
  う。細かい点では異なるかもしれんがな。

水:つまり、人間は別々に存在しているように
  見えるけれども、意識の深いところではつ
  ながっている、ということですね。

寿:そうじゃ。その「下意識のつながり」が意
  識場の共有を支えているわけじゃニャ。

水:ははあ、上意識と下意識の関係が1:100万
  なので、上意識は下意識で起きていること
  がわからない。だから意識は「つながって
  ない」ように感じるわけですね。

寿:そういうことじゃ。

水:う〜む。

寿:で、じゃニャ。その「誤解に満ちた」上意
  識を少し休ませた状態がハイファイ意識
  ニャんじゃよ。「ハイファイ」は高忠実度
  じゃろ? 自分の心の「あるがまま」をよ
  り忠実に再現する意識状態がハイファイ意
  識じゃ。

水:はあ、なるほど〜。

寿:主客転倒の話を覚えておるかニャ?「主」
  が上意識、「客」が下意識だと考えればわ
  かりやすいじゃろう。

水:そうすると、ハイファイ意識を作るとは、
  上意識を消すことですか?

寿:ハイファイ意識もある段階までは上意識主
  導じゃ。しかし主客が転倒することで、ハ
  イファイ度がぐっと深まる、つまり「視界
  が晴れる」のじゃ。

水:するとどうなります?

寿:演奏者も鑑賞者もともにハイファイ意識と
  なった場合、共鳴現象のインパクトは強く
  なるといえるニャ。

水:あ、なるほど。上意識がジャマをしないの
  で、ダイレクトに下意識同士で情報を共有
  するということですね。

寿:サエとるのう。そういうことじゃ。

水:てへ☆

寿:これが梅若氏のいう「手順四:身体が表現
  体として語り始める」じゃろう。

水:つまり能楽師は、動きとして舞ったり言葉
  を発するほかに、別のメッセージを下意識
  で発しているのですね。

寿:うむ。そして鑑賞者の下意識とメッセージ
  の交換をしておる。それは能だけでなく、
  ほかの舞台芸術も同じじゃ。

水:え〜と、老師、ここまでいろんな話を習っ
  てきましたが、ちょっと頭が混乱している
  んですが…。

寿:ニャはは。たしかに情報量が多かったかも
  しれんニャ。では、次回は情報を整理して
  実践的な応用法を伝授しようかニャ。

水:いよ、待ってました!おもしろくなってき
  たぞ〜!!

寿:では吾輩は…

水:あ、また、おネエちゃんですか?!

寿:ニャはは、むにゃむにゃ。ニャ〜ん♪
  
(つづく)


***

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投稿者 kurosaka : 2007年10月12日