ワールド・プロジェクト・ジャパン  〜 合奏音楽のための国際教育プロダクション 〜


Magic Jazz Town / IKSPIARI 2002レポート

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  2002年夏(7.29-31)、舞浜のディズニーリゾート
  で行なわれたジャズ・イベントのレポート。

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お天気にも恵まれ、無事終えることができたMagic Jazz
Town / IKSPIARI 2002。ご来場頂いた方々の感想をもと
に、このイベントを振り返りたいと思います。

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■出演者
【7.29】 
Entry Plaza
   Field Holler Jazz Orchestra
   Sexy Dynamite Jazz Orchestra
Celebration Plaza
井上信平 with Friends
Roti's House
   神谷えり with 吉岡秀晃トリオ
【7.30】 
Entry Plaza
   Undecided '92
   Lee Sarah Special
Celebration Plaza
Fried Pride
Roti's House
   東京銘曲堂(TMD)
【7.29】 
Entry Plaza
   Club Ohkubo + 1
   与野東中学校 Popcorn Sounds Orchestra
Celebration Plaza
大野雄二トリオ + 1
Roti's House
   Bobby Shew meets 吉田治 Silver Lining
   Akiko Grace


<平日開催>
Magic Jazz Town/IKSPIARI 2002 では、「平日開催」と
いう、イベントの常識から少しはずれた実験を行ないま
した。




 感想1:
 行ってきました。イクスピアリ。夫も会社を休みまし
 た。(^^)

 子ども連れで大きなイベントに行く場合は人の集まる
 休日を避けるという人はまわりにもたくさんいます。
 今回のような「夏休み中の平日」というのはとても好
 都合でした。

 会社を休んでしまった主人ですが、今回は「家族サー
 ビス」というばかりでなく、自分自身がのんびり楽し
 むことができたので、我が家は「平日賛成派」です。



平日開催によって、ジャズにあまり馴染みのない多くの
方々にジャズ体験を提供できた反面、本当に聞きたい人
は会社を休まなければならないなど、企業人にとっては
調整が必要となりました。

JJazz.Netは、男女問わず全ての世代に「生の音楽との出
会い」を提供することを目指しています。 その意味で、
平日開催は効果を上げたと言えます。

また、日本人のレジャーが、一斉集中型から分散型へと
ゆるやかに移行しつつあることも「平日開催」を後押し
する材料です。

いずれにしても、「平日 vs 休日」は、どちらが集客し
やすいかということではなく、もっと大きな視点からあ
らためて議論する必要があるでしょう。

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<パブリックアートとしてのジャズ>
今回のイベントでは乳飲み子を抱えたお母さん達が演奏
に足を止める場面をたくさんみかけました。お母さん達
には「音楽を楽しみたいのに楽しめない」現実があるよう
です。




 感想2:
 楽しかったです。子どもがいると、生の音に触れる機
 会はどうしても制限されてしまうので、子どもがいて
 も気にしないで楽しめるというのは、本当にうれしい
 企画でした。すばらしい演奏が次々に聴けて、しかも
 タダ。家族全員のチケットを用意するとなると大変な
 額になるので、そのためにあきらめねばならないのは
 しょっちゅうです。



私たちイベント制作者は、これまで、こういう声に耳を
傾けていたでしょうか? 観客動員をアーティストの知
名度に依存し、高額なチケットを販売するスタイルでは、
このような「芸術難民」を救うことはできません。

パブリックアートとしてのジャズは、音楽家と聴衆を結
び付けるための手法として、今後もますます洗練してゆ
く必要があるでしょう。

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<ジャズ教育的要素>
Magic Jazz Town / IKSPIARI 2002は、ジャズ教育普及を
目指しています。ここでいうジャズ教育には、以下の4つ
の要素が含まれています。

 1.リスナー啓蒙
 2.プレイヤー教育
 3.教育者育成
 4.産業振興

Magic Jazz Town / IKSPIARI 2002 は、これらのうち
「リスナー啓蒙」に大きな力を発揮すると思われます。
他の要素も徐々に力を入れていきますが、まずは聴衆に
楽しんでもらうこと。これを最優先に考えています。

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<どこを歩いてもジャズの街>
JR京葉線舞浜駅を降りると、ビッグバンド・ジャズが出
迎えてくれます(一部コンボ)。1日に2バンドの日中公
演は、イクスピアリの正面玄関エントリー・プラザで行
なわれました。

エントリー・プラザでビッグバンドを聞いたら、中央広
場のセレブレーション・プラザへ。ここでは、夕方から
夜にかけて、プロの演奏が3セット行なわれます。日が
傾き夕闇が迫ると、ステージ周辺は美しい音楽とイルミ
ネーションに包まれました。

4Fのロティズ・ハウスでは、夜の公演が行なわれ(31日
のみ昼の部も)、食事をしながらゆったりとした気分で
演奏を楽しめる環境を創出しました。




 感想3:
 音楽に興味の出てきた長男には、いろんな演奏が聴け
 たのが、とてもよかったようです。一口にジャズといっ
 ても表現はさまざまで、それが肌で感じられたのは幸
 せでした。



また、館内では、9つのゾーンごとに異なるジャズをBGM
として流し、イクスピアリ全体を「ジャズの街」とする
よう努めました。さらに、各テナント店鋪にもご協力を
お願いして、ジャズを流せるお店ではBGMをジャズに代え
てもらいました。

どこを歩いても、物語とエンターテイメントとジャズが
ある。そんな非日常を味わうことが「Magic Jazz Town /
IKSPIARI 2002」の醍醐味だと考えたからです。

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<最後に>
あらゆる大規模音楽イベントが多かれ少なかれ「興行」
としての側面を持つのに対して、Magic Jazz Town /
IKSPIARI 2002は、極力それを排すことに努めました。
街全体をジャズに染める、コンサートではなくフェスティ
バルを楽しむというところに重点を置いたのです。

これは、ジャズを花見の「桜」にたとえればよく分かり
ます。花見の宴に桜の花は不可欠。でも、じっくり鑑賞
するわけではありません。見るでもなし見ないでもなし。
花の発するエネルギーを頂戴するのが花見です。

Magic Jazz Town/IKSPIARI 2002 もこれにならいました。
出演するミュージシャンは一流でなければならない。け
れども演奏は「聞くでもなし聞かぬでもなし」。良質な
音楽をふんだんに「聞き捨てる」。そんなぜいたくなフェ
スティバルを作ってみたのです。

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ジャズの新しいかたち Magic Jazz Town/IKSPIARI 2002。
まだまだ花見には及びませんが、今後も工夫を重ねて、
アーティストのエネルギーを存分に愛でることができる
場をご提供できればと存じます。

ワールド・プロジェクト・ジャパン 黒坂洋介

投稿者 kurosaka : 2004年3月15日