ワールド・プロジェクト・ジャパン  〜 合奏音楽のための国際プロダクション 〜


火を吹くトランペット

火を吹くトランペット

  サル・クラキオーロ(tp)の日本公演2003レポート
  (4.24〜5.7)。サルの熱いパフォーマンスに日本中
  が燃えた2週間。本レポートは、サル・クラキオーロ
  の日本公演中に配信したデイリー・メルマガを整理
  編集したものです。

写真




       サル通信 2003.4.20 〜予告編〜


<サル、くる!>
ワールド・プロジェクト・ジャパンでは、毎年ゴールデ
ンウィークにロサンゼルスからアーティストを招聘し、
全国各地のビッグバンドと共演するジャズ教育プログラ
ムを主催しています(GOLDEN JAZZ WEEKS 企画)。

今年は、トランペット奏者 Sal Cracchiolo(サル・クラ
キオーロ)。 サルは1975年以降ポンチョ・サンチェスの
バンドに在籍し、18枚ものアルバムに参加。

現在は、夫人 Melanie Jackson (vo) をフィーチャーし
た自身のセクステットを中心に活動しています。サルは
ヤマハのアーティスト&クリニシャンであり、楽器はボ
ビー・シュー・モデル(Yamaha Z-Horn、Z-Flugelhorn)
を使用。


<サル、トラベる!>
さあ、いよいよ「13日間休みなし」の日本公演ツアーが
始まります。予定は以下の通り。

4.24 木 大阪 
 関西空港へ到着。グローバルJOとリハーサル。
4.25 金 伊丹
 伊丹STAGEで大阪グローバルJOと共演。
4.26 土 梅田
 日中ドルチェ楽器でクリニック。
 夜、梅田JAZZ ON TOPでグローバルJOと共演。
4.27 日 静岡
 しずぎんユーフォニアで静岡スイングハードJOと共演。
4.28 月 大田(東京)
 大田区民プラザでビッグバンド・オブ・ローグスと共
 演。
4.29 火 名古屋
 テレピアホールでレアサウンズJOと共演。
4.30 水 神田(東京)
 トーキョータックで明治大学ビッグサウンズSOと共演。
5.01 木 三鷹(東京)
 国際基督教大学MMSにてクリニック。
5.02 金 赤坂(東京)
 B FLATで東京シマモト・シンジケートと共演。
5.03 土 多摩(東京)
 京王プラザホテル多摩でたまドリームJOと共演。
5.04 日 金沢
 もっきりやでコンボと共演。
5.05 月 砺波(富山)
 となみチューリップフェアでフィールドハラーJOと共
 演。
5.06 火 横浜 
 横浜洗足学園でクリニック(非公開)。
5.07 水 
 帰国の途へ。


<サル、燃える!>
「ポンチョ・サンチェス・ラテン・ジャズ・バンド」で
鍛え抜いた熱性のトランペット。ベルから真っ赤な吐息
が、ほとばしる、吹き上げる、そして燃えたぎる。

ほら、きみもサルの熱気を浴びに来ないか?




         サル通信 2003.4.24


<雨の関西エアポート>
雨にけむる関空に、彼は降り立ちました。イタリア系ア
メリカ人のトランペット奏者サル・クラキオーロ。ロサ
ンゼルスからの長旅の疲れも見せず、陽気に姿を現わし
ました。

「何回目の来日か」と尋ねると、「たぶん10回目。今年
の2月にもサルサバンドで来たばかりだよ」とのこと。
日本文化、日本食、そして日本人も大好きだそうです。

リムジンバスで梅田のホテルへ向かいチェックイン。1時
間ほど休んでから、さっそくリハーサルです。場所は新
御堂筋に面した音楽スタジオ「TO DO」。「とど」ではな
くて「トゥ・ドゥ」と英語読みするようです(あたりま
えか)。


<グローバル・ジャズ・オーケストラ>
日本ツアー最初の共演バンドは、大阪の社会人ビッグバ
ンド Global Jazz Orchestra。明日は伊丹の「STAGE」、
明後日は曽根崎新地「JAZZ ON TOP」でのジョイント・
コンサートです。

グローバルは日本を代表する社会人ビッグバンドのひと
つ。現在のリーダー野々村明氏がこのバンドを率いてか
ら25年になるそうなので、老舗中の老舗ですね。

ロシアンリバーやモンタレーなど、海外のジャズフェス
ティバルへの出演にも積極的。また、内外の著名アーティ
ストとの共演もたくさんこなしておられます。

さて、サルとの共演曲をざっと通して、リハーサルは無
事終了。近所の「すかいらーく」で遅めの夕食をとり、
今日はゆっくり休むことにします。

熱い熱いサル・クラキオーロの日本ツアー。明日からい
よいよ始まります!




         サル通信 2003.4.25



<サルとボビー>
サルの師匠は皆さんおなじみのボビー・シューです(お
なじみでない方ごめんなさい。ジャズ界では有名なトラ
ンペット奏者です)。

ゴールデン・ウィークに日本各地のバンドとプロが共演
するという、このスタイルのツアーを確立したのもまた
ボビーでした。

私自身もボビーとは付き合いが長いし、彼のことをよく
知っています。リードもアドリブもあれだけのレベルで
吹ける人はめったにいないし、理論家、教育家としても
たいへん優れた人です。

その名奏者ボビー・シューの優れた技量を受け継ぎなが
ら、独自の野性味と熱気を加え昇華したのが、サルのト
ランペットと言えるでしょう。


<サルのバトル>
今日の演奏会場は、「STAGE」というちょっと変わった名
前のお店。大阪空港がある伊丹市のライブハウスです。
グローバルの演奏曲目は以下の通り。

1st Set
Overdrive
Con Alma
Body And Soul
Count Bubba 
(以下サルと共演)
 Just Platonic
 Alone Together
 First Light
 Hangin' with Herman

2nd Set
Ain't Nothin' No
April in Paris
Suite Sandrine Part 1
Crusin' for A Bluesin'
(以下サルと共演)
 Serengeti
 Smoke Gets Your Eyes
 Potatoe Blues
 A Train Mambo

グローバルは、もともと「鳴る」バンドです。とにかく
大迫力で鳴り渡る。ゲストとして加わったサルが、それ
に負けじと吠えまくる。龍虎がぷり四つというか、二大
怪獣大暴れというか、胸のすくようなバトルです。

サルの明るいキャラクターが会場を陽気なムードに染め、
最初の公演は無事お開きとなりました。




         サル通信 2003.4.26



<サルと日本文化>
サルは小さい頃、日本拳法をやっていて、武術大会でブ
ルース・リーの試合を見たことがあるそうです。ほかに
太極拳、気功、灸、鍼など、東洋の文化には多く接して
いるとか。コーヒーは飲まず、もっぱら日本茶。

いかにもイタリア系という情熱的で明るいキャラクター
とは別に、サルには物静かでストイックな求道者として
の顔もあります。とは言っても猥談は大好きで、あっけ
らかんとセクシャルな話題をふりまいています(芸風は
しつこいほうでっせ)。


<サルのクリニック>
今日は、梅田のドルチェ楽器でトランペット・クリニッ
ク。プロ、アマ含めて40名ほどの受講者が来られました。

まずサルの日常的なトレーニングを紹介。朝起きて最初
に flutter で口輪筋をほぐします。唇をブルブルと鳴
らすアレですね。筋肉中の血液循環を促し、酸素と栄養
分を運ぶことができます。

続いて散歩。サルは毎朝2〜3マイルの散歩をするそうで
す。歩き始めて身体が暖まってきたら、Claud Gordon か
ら習った呼吸トレーニングを行ないます。7歩進む間に息
を吸い、次の7歩で息を吐く、という方法を繰り返しま
す。身体が納得するまでこれを続けますが、距離にして
だいたい1/4マイル程度だそうです。

家に戻ったらロングトーンです。非常にソフトに唇を振
動させ、ゆっくり「C-G-E-C」と下降。これを半音ずつ下
げて行ない、7ステップ下がったところで休憩です。続い
てさらに高い音から下降するパターンもやります。

ロングトーンが済んだらタンギングの練習。メトロノー
ムを80にセットして、16分音符のスケール練習を行ない
ます。ひと通り済んだらメトロノームを120に上げてもう
一度。

インプロヴィゼーション(即興演奏)の練習方法につい
ては、「10コイン練習法」を伝授してくれました。まず
10枚のコインを用意し重ねておきます。ジェイミー・エ
バソウルド(マイナスワンCD教材)の中から自分が演奏
したい曲をひとつ選びます。

マイナスワンにはアップテンポの曲で、だいたい10コー
ラス分ほどの伴奏が録音されています。これに合わせて
ひと通り吹いたら、コインを1枚横へよけます。しばらく
休んで、ふたたび同じ曲の伴奏を流し、ソロを吹き、コ
インをもう1枚横へ動かす。

このようにして最初に積んだコインの山を、横へすべて
移し終えるまでこれを繰り返します。つまり、10コーラ
ス x 10枚 = 100コーラスを練習にあてるわけです。

サルによると、このトレーニングで曲のすみずみまで探
索できる。そして不思議なことに、80コーラス目を過ぎ
たあたりで、突然その曲が「ものになる」瞬間が訪れる
のだそうです。身体が曲を理解するのだとか。

この練習は「一日に一曲だけ」というのがミソです。そ
の曲を知り尽くすためにやるからです。

このほかにも、ボビー・シュー直伝のヨガ完全呼吸法の
話あり、ボビーが1.5mほど離れたところにあるロウソク
の炎を一瞬で吹き消したエピソードあり、グローバルの
ピアニスト松浦さんとのデュオ演奏ありと、充実したク
リニックでした。


<サル at BAR JAZZ ON TOP>
夜は昨日に引き続きグローバルとの共演。今日の会場は、
曽根崎新地・大阪ブルーノートの並びにある「BAR JAZZ
ON TOP」です。演奏曲目はゆうべとほぼ同じ。

お店はフルハウス状態で、立ち見まで出ました。サルも
グローバルも、一層演奏に熱がこもります。昼のクリニッ
クを受講した方も何名かいらしていて、とても暖かい拍
手をいただくことができました。

こうしてサル・クラキオーロ関西公演は、大成功のうち
に幕を降ろしたのであります。




         サル通信 2003.4.27



<サルは日本茶がお好き>
今日は大阪を発ち、静岡へ向かいます。静岡といえば、
日本を代表するお茶の産地。サルは日本茶が大好きです
から、たまりませんね。

今日の共演はスイングハード・ジャズ・オーケストラ。
創立38年になる老舗ビッグバンドです。会場は「しずぎ
んユーフォニア」という素敵なホール。

1st Set
Just Friends
A Night in Tunisia 
(以下サルと共演)
 Just Platonic
 Alone Together
 First Light
 Hangin' with Herman

2nd Set
Mambo De Memo
Moment's Notice
(以下サルと共演)
 Serengeti
 Smoke Gets in Your Eyes
 Potatoe Blues
(アンコール)A Train Mambo


<明るさの競演>
サルは根っからの明るいキャラクター。一方のスイング
ハードも楽しいこと大好きの明るいバンドです。どうい
うやらこの両者のノリが「はまって」しまったようです。

サルが楽しけりゃスイハーも楽し。気が交流するという
のはこういう状態でしょう。お互いに演奏を高めあって、
さらにそのウキウキした雰囲気が客席とも交歓を始める。

最後の Potatoe Blues では4人でサル回しもといソロ回
しをして、大いに盛り上がりました。アンサンブルもグ
ングンまとまって、気がつけばコンサートは大成功。こ
ういう状態になると、もう何をやっても笑顔、笑顔です。


<世界一の宴会バンド>
スイングハードといえば、知る人ぞ知る宴会バンド。打
ち上げがやりたくてバンド活動をしているメンバーがい
るとかいないとか(いないでしょうけどね)。静岡駅前
の「魚彩」という居酒屋で、今年もハイテンションな宴
会が開かれました。

隣の座敷では20代と思われるお姉さんたち20名ほどが、
これまた飲めや笑えの大騒ぎをしていて、サルとスイン
グハードの写真撮影に乱入してくる始末。それを迷惑が
るでもなく、ちょっとしたジャムセッションのようなつ
もりで、さらに盛り上がってしまうスイングハードであ
りました。

打ち上げのしめは恒例の「休符なし三三七拍子」。シャ
ンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン
シャンシャンシャンシャンと、一気に13発拍手をする、
このバンド独特のしめです。

こうして静岡の明るい夜はお開きとなったのです。




         サル通信 2003.4.28



<ビッグバンド・オブ・ローグス>
アメリカが敵対国のことを「ならず者国家」と呼ぶこと
があります。英語では「rogue state」。ですからビッ
グバンド・オブ・ローグス(Big Band of Rogues)とは、
「ならず者大楽団」という意味です。

こんなシャレた名前のグループが、今日のサルの共演相
手。東京と神奈川を中心に活動する社会人ビッグバンド
です。実は、ローグスとサルは、すでに2回共演していま
す。1998年ポンチョ・サンチェス来日および1999年ロー
グス・ロサンゼルス公演のときです。

今日はローグスとサルに加えて、素敵なピアニスト遠藤
律子さんをゲストに迎えた豪華なコンサートです。会場
は大田区民プラザ大ホール。平日にもかかわらず、500
枚のチケット(3,000円)は完売。いつもながらローグス
の人気はすごいですね。


<ショウほど素敵な商売はない>
ローグスのリーダー伊波秀進(いば・ひでのぶ)さんの
企画構成による、華やかなショウが始まります。

1st Set
Theme "Without You"
Begin the Beguine
Mambo No.5
Peanut Vender
Quiereme Mucho
Besame Mucho
(以下サルと共演)
 Smoke Gets in Your Eyes
 Linda Chicana
 Just Pretty Little Thing
 Cumana
 Suite Sandrine Part 1

2nd Set
Mi Tierra
Bamboleo
Elegance
(以下サルと共演)
 Dargeeling
 A Train Mambo
 Autumn Leaves
 It Could Only Be You
 El Cumbanchero
(アンコール)Engine No.9

これはコンサートというよりはショウですね。きらびや
かな衣装、洒落たトーク、ヴォーカル、ダンス、そして
多彩なラテンパーカッションがくり出すリズム。

しかも、そこへサルです。陽気なお祭り男がトランペッ
トを持って乱入し、伊波さんがそれを煽る。ステージは
熱気でムンムンしています。


<打ち上げはお好み焼き屋で>
これだけ大掛かりなショウですから、バンドメンバーや
ゲスト以外にもたくさんのスタッフが働いています。み
んなでお好み焼きを食べ、ビールを飲み、楽しかった今
日の演奏について語り合います。

こんなときサルの明るさは絶好調に達します。大いに笑
い、ときには叫び、場の空気をラテンのノリに変えてい
きます。サル with ローグス公演は、かくして大成功を
おさめたのでありました。




         サル通信 2003.4.29



<甘い思い出>
サルは偉大なミュージシャンに会うと「あなたのスイー
ト・メモリーを聞かせてください」と頼むのだそうです。
師匠ボビー・シューがサルに語ったのは以下のような話
でした。

ボビーが若い頃、ウディ・ハーマンで3番トランペット
を吹いていました。楽団がヨーロッパ公演をしたとき、
一緒にツアーしたバンドの中に、ジョン・コルトレーン・
カルテットがありました。

ホテルへチェックインすると、バンドマンはみな街へ食
事に出たり、遊んだりします。でも、ボビーは部屋に荷
物を置くと、ホテルの各フロアを歩いて、コルトレーン
の部屋を探したそうです。

サックスの音がすれば、そこがコルトレーンの部屋です。
チェックインするとすぐ練習を始めるので、見つけるの
は簡単。そしてボビーは廊下に座り込んで、コルトレー
ンの練習にずっと聞き入っていた。これがボビーのスイー
ト・メモリーだとか。


<聖と性>
こんな素敵な話をしんみりと聞かせてくれたかと思えば、
とてもここでは書けない下ネタを連発しては「ギャハハ
ハハ〜! ヘ〜イ、ヨウスケ〜!」と笑い転げたりする。

考えてみれば、芸術とは生命力の発露。聖も性も、生き
生きと活動する者からは、自然にあふれ出るのでしょう。

サルはアートと真正面から向き合い、そのエネルギーを
バンドにも、聴衆にも惜しみなく分け与えてくれます。
サルの演奏がなんともいえず楽しい雰囲気を生み出し、
コンサートホールや宴会場を包んでしまうのは、こんな
ところに秘密があるのかもしれません。


<レア・サウンズ・ジャズ・オーケストラ>
今日の公演地は名古屋。レア・サウンズと共演です。一
昨年、ジョージ・グラハム公演でお世話になった直後に、
リーダーの西川さんが病に倒れられました。

それから長く闘病生活を送っておられましたが、順調に
回復され、今日は久しぶりにお目にかかることができま
した。西川さんもトランペット奏者ですので、サルの演
奏は喜んでいただけたようです。強烈なサルのパワーを
受け取ってくださったのではないかと思います。

1st Set
The Umpire Strikes Back
Days of Wine and Roses
Georgia on My Mind
Jazz-Me Blues
(以下サルと共演)
 Just Platonic
 Alone Together
 Smoke Gets in Your Eyes
 Hangin' with Herman


2nd Set
The Days Gone By
His Dream
(以下サルと共演)
 A Train Mambo
 First Light
 Breakfast Wine
 Potatoe Blues
(アンコール)Spain, The Preacher


<地道なマーケティング>
「サル爛漫」と銘打ったレア・サウンズのコンサート。
400席のテレピアホールは満席です。もっと広い会場を
探したけれども、ほかは予約が入っていて、やむなくこ
こを使うことにしたとか。何人もの問い合わせをお断り
したそうで、いつもながらレアの集客力には脱帽です。

この動員を支えているのは、レア・サウンズのマーケティ
ング力です。毎年、会場でアンケート用紙を配り、次回
の案内を希望する人の住所を入手。往復葉書で案内を送
り、当日清算券を販売します。毎年この時期にゲストを
迎えてコンサートをすることが定例化しているので、一
年間かけて地道に集客するというわけです。

コンサートは、今日も派手で華やかなエンディング。サ
ルの陽気なトランペットが鳴り響きました。今年来たお
客さんが、こうしてまたレアのファンになってくださる
といいですね。

打ち上げは、地元ではテレビコマーシャルで有名な「五
一(ごいち)」という和食屋さん。女将が自慢するだけ
あって、お寿司のネタは新鮮でおいしかったですよ。




         サル通信 2003.4.30



<東京公演の始まり>
名古屋のホテルをチェックアウトした我々は、レア・サ
ウンズ井上洋介さんの車で駅まで送っていただきました。
途中、車中から名古屋城も見学して、ちょっとした観光
気分です。

新幹線で一路東京へ。ホテルへチェックイン。さあ、こ
れから4日間の東京公演が始まります。初日の今日は明治
大学ビッグ・サウンズ・ソサェティ・オーケストラ(以
下BS)との共演。会場は、神田のトーキョータックとい
うライブハウスです。


<チャンピオンバンド明大BS>
BSといえば、学生ビッグバンド界では向かうところ敵な
しのコンテスト常勝バンド。鳴り渡る管、タイトなリズ
ム、強烈なドライブ感でぐいぐい引っ張る実力派です。

ジュニアバンド、レギュラーバンドの演奏に続いて、い
よいよサルとの共演曲。

Just Platonic
A Night in Tunisia
I Remember Clifford
Basie !
(アンコール)One O'clock Jump

アンコールでは、会場に来てくれた東京在住のミュージ
シャン Fred Simmons 氏も飛び入りでトロンボーン・ソ
ロを聞かせてくれました。サルの旧友だそうです。

今日もサルの演奏は絶好調。ベルの先から湯気を立ち上
らせ、吠えて吠えて吠えまくります。次々と紡ぎ出され
る流麗なメロディと、会場の空気を引き裂くようなハイ
ノート。そして、いつもの陽気なキャラクター。トーキョ
ータックは、すっかりサル色(ってどんな色だ)に染まっ
てしまいました。


<打ち上げは村さ来>
当初、打ち上げは予定されていなかったのですが、トラ
ンペットとトロンボーンの両セクションが、サルそして
フレッドとお話がしたいということで、急遽、近所の居
酒屋を予約することになりました。

飲み会となれば、サルはますます陽気。トランペットの
練習法からお決まりの下ネタまで、話がはずみます。ピ
ングー、ピンガ、ピンギータ!(おっと)

帰りのタクシーでサルとフレッドが言っていたのですが、
BSのサウンドは音楽専攻(music major)の学生よりす
ぐれていると。たいへん真面目に練習し、打ち込んでい
る、そして音楽を愛している。

これを聞いて、私はあることを思い出しました。2年前、
私はBSのアメリカ公演に同行し、その時のツアーレポー
トを「ベイシーへの愛」と題したのです。

  (2001年「ベイシーへの愛」より)
    今回のツアーでは、たくさんの「よい偶然」に
    恵まれました。出発前は「演奏10回、指導4回、
    ゲスト1人」の予定だったのが、現地でどんど
    ん増えていったのです(最終的には演奏13回、
    指導6回、ゲスト2名)。

    BSがほかのバンドと少し違うのは、Count Basie
    に対する「愛」と呼べるほどの思い入れがある
    こと。音楽を(あるいはBasieを)好きで好きで
    たまらないという想いの強さが、まわりの人に
    伝播して、感動と共感と、そして幸運を呼び寄
    せたのかもしれません。

BSの愛は、ずっと燃え続けているようですね。




         サル通信 2003.5.1



<国際基督教大学モダン・ミュージック・ソサェティ>
国際基督教大学(ICU)のビッグバンド「モダン・ミュー
ジック・ソサェティ(MMS)」は、学生バンドの中では特
異な存在かもしれません。

日頃から外山昭彦氏(tp)、吉田治氏(sax)らプロミュ
ージシャンの指導を受ける機会に恵まれている。楽器初
心者で入部する人が多いのに、在学中にかなりのレベル
まで上達する秘密は、専門家による計画的な指導がある
のです。

また、MMSは1991年から4年ごとにアメリカ公演を行ない、
この3月にもロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシ
スコ、サンタクルーズ、サクラメント、ホノルルを回る
ツアーを敢行してきたばかりです。

そしてこのツアー中、ロサンゼルスのライブハウスで、
サルとも1曲だけ共演する機会がありました。ですから、
お互いにひと月半ぶりの再会となるわけです。


<クリニック〜バンド指導>
まずはトランペット・クリニック。サルがふだんしてい
るウォームアップを紹介し、アドリブの練習方法などを
披露。CDの選び方、聞き方、音色のイメージ方法、アー
ティキュレーションの吹き分けなどなど、1時間にわたっ
ていろんな話を聞くことができました。

続いてビッグバンド指導。「Angel Eyes(Tim Davis
編)」を初見で練習したり、「Replay(吉田治作曲のオ
リジナル)」「Hangin' with Herman」「Smoke Gets in
Your Eyes」をサルと一緒に演奏したり、1時間半に及ぶ
充実した時間を過ごしました。

どんな言葉よりも、サルのトランペットがすべてを物語
る。もっとも説得力があるのは、彼の音色であり、フレ
ーズであり、歌心なのです。ソロを吹いたり、あるいは
セクションに入ってリードを吹いたりと、サルはお手本
をたくさん見せてくれました。


<ひげのサルはひげで飲む>
打ち上げは MMS いきつけの居酒屋「ひげ」。家庭的で暖
かい雰囲気のお店です。

クリニックの間は、ずっと真面目だったサルですが、打
ち上げで下ネタ炸裂です。イタリア人の血ゆえでしょう
か、陽性エッチというか、ユーモラスでエロティックで、
楽しくほがらかな猥談なのです。


<豊かさとは何か>
打ち上げが終わって、帰りの電車の中でサルが言いまし
た。「金を稼ごうと思えば、いくつもいい話があった。
人気シンガーのバックバンドでワールドツアーをすれば
ガンガン稼げる。でも俺がやりたいのはそんなことじゃ
ないんだ」。

「今回の日本ツアーは、俺の音楽人生の中で、間違いな
くハイライトのひとつだよ。いい音楽があり、素敵な人
たちとの交流がある。そしてみんながハッピーになれる。
人生は短い。やりたいことを、やれるときに思いっきり
やっとかなくちゃね」

大衆車より高級車に乗るのが豊かで、一台持つより二台
持つほうがさらに豊か、というような二十世紀的価値観
は、曲り角に差し掛かっている。そんな指標で「豊かさ」
は測れなくなっているのです。

限りある人生という時間を、どれだけ「生ききる」か。
量だけでなく、人生の質を多くの人が問い始めています。
このツアーを通じて、各地のバンドも、来日ミュージシャ
ンも、コンサートを聞きに来てくださったお客さんも、
そして私自身も、生きている実感を身体全体で受け止め
るなら、それはひとつの豊かさなんだと思います。




         サル通信 2003.5.2



<若いシマモト・シンジケート>
変わった名前のバンドですが、リーダーの名前が島本真
(しまもと・しんじ)と聞けば、思わずニヤリですね。
ラテンを中心に演奏する、一応社会人バンドです。

「一応」というのは、メンバーの多くがプロもしくはプ
ロ志望だからです。学生メンバーもいます。したがって、
演奏の技量は折り紙付き。しかも、若くてやる気のある
人たちが集まっているので、演奏のキレには目を見張り
ます。

今日の会場は、赤坂のライブハウス B Flat。シマモト・
シンジケートは、ここで時々ライブをしているそうです
が、いつも客席は満員。人気バンドなんです。


<サルとシンジケート>
演奏曲目は以下の通り。

Sussudio
Slo Funk
(以下サルと共演)
Hangin' with Herman
Potatoe Blues
Just Platonic
El Paseo
A Train Mambo
First Light
Serengeti
Another World
(アンコール)Pick up the Pieces

シマモト・シンジケートは、基本的にラテンバンドです。
サルもポンチョ・サンチェスに20年も在籍したのですか
ら、ラテンはお手のもの。El Paseo 以降のラテンナン
バーでは、サルのソロがいつもにも増して冴え渡ります。

今日も会場はフルハウス。一昨日共演した明治大学ビッ
グ・サウンズ・ソサェティ・オーケストラからも数名が
足を運んでくれました。また、4月にカーネギーホール公
演を行なった東京大学吹奏楽部の指揮者・楠山光彦先生
もわざわざ聞きに来てくださいました。

4月28日に共演したビッグバンド・オブ・ローグスの伊波
さんは、夜はどうしても都合がつかないとのことで、リ
ハーサルを聞きに来られました。

サルのまわりには、なんともいえぬ楽しい雰囲気が漂っ
ていて、関わった人を次々とハッピーにしていくようで
す。


<打ち上げはやるき茶屋>
シマモト・シンジケート行きつけの「やるき茶屋」で打
ち上げです。トロンボーンのフレッド・シモンズ氏も加
わって、今日もまたチャカポコと宴会です。

例によってピングー、ピンガ、ピンギータで盛り上がり、
楽しい夜は更けゆくのでした。




         サル通信 2003.5.3



<多摩の夢という名のバンド>
今日のサルは、「タマ・ドリーム・ジャズ・オーケスト
ラ」と共演です。平均年齢約60歳(男性メンバー)。最
高齢の一ノ瀬浜十郎さん(as)は81歳という、文字どお
り夢のようなシニアバンドです。

  熟年よ、強く、お洒落に、カッコ良く!!
  お年寄りに夢を、若者に喝を、地域に活性化を

というモットーを掲げ、日々練習に打ち込んでおられま
す。平均年齢が高いということは、いろんな歴史とドラ
マを生き抜いてこられた人生の達人が多いということ。
たとえば、バンマスの佐藤進さんの肩書きは、

 NPO多摩文化推進事業団副理事長
 多摩市文化振興財団評議委員
 日野市アートフェスティバル副実行委員長
 多摩市永山フェスティバル副実行委員長
 ファニー・フェローズ・ジャズ・オーケストラ元代表
 タマ・ドリーム・ジャズ・オーケストラ代表

となっています。「軽音楽サークルのドン」とまで呼ば
れる佐藤さんがトップに立つサークルは、すべて発展し
ているのだそうです。

ほかにも元プロミュージシャン、船員、エンジニア、レ
コード収集家、経営コンサルタント、建築士、政治家な
どなど、さまざまな経歴の方がおられます。


<ジャズ・ピクニック in多摩>
会場となるのは京王プラザホテル多摩の宴会場。食事付
き8000円のディナーショウ形式ですが、あっという間に
280席分のチケットが売り切れるというから、このバンド
の集客力には驚きです。ショウの構成は以下の通り。

コスモス・ベアーズ(友情出演:フルートアンサンブル)
吉田組(友情出演:ヴォーカル・セクステット)

タマ・ドリーム・ジャズ・オーケストラ
A String of Perals
From Russia with Love
Dream
I Can't Give You Anything But Love
Moonglow
Broken Promises
Easy Money
My Romance
  サル・クラキオーロ+タマ・ドリーム
   Potatoe Blues
   Alone Together
   On A Slow Boat to China
   Smoke Gets in Your Eyes
   A Train Mambo
   Brazil
   アンコール:川の流れのように

多摩の特徴は、お客さんの質が尋常でなく高いこと。こ
のコンサートを楽しみにしていた方が多く、会場の盛り
上がりが普通ではありません。

拍手も「暖かい」を通り越して「熱い」。そこへサルの
熱性トランペットが加わるのですから、火に油を注ぐと
はこのことです。サルもバンドもお客さんも、みんなが
燃えた夜でした。


<打ち上げは石井家で>
タマ・ドリームのドラマー石井(父)さんのお宅で、今
年もホームパーティー形式の打ち上げを開いていただき
ました。石井(母)さんの手料理に舌鼓を打ちながら、
今日の演奏を収めたビデオを見たり、談笑したりします。
ちなみに石井(子)くんは、昨日サルが共演したシマモ
ト・シンジケートでトランペットを吹いています。

「石井家特性雲丹の茶碗蒸し」「海鮮ちらし」「大根と
鶏肉の煮物」「手羽先」「エビしんじょ」「シュウマイ」
「ポテトとソーセージ」「明太茶漬け」「フルーツパン
チ」などなど、ご馳走が並びます。家庭料理のもてなし
に、サルも大感激です。

タマドリームのバンマスが「私たちがもっと上手になる
ためのアドバイスは何か」と尋ねたところ、サルは「も
う一度私を呼ぶことです」と切り返す。宴は笑いに包ま
れます。楽しい楽しい多摩の一夜です。




         サル通信 2003.5.4



<金沢もっきりや>
「にしらはろくな銭もねいくせに」と美少女から奇妙な
歓迎を受ける。つげ義春の文学的マンガ「もっきりやの
少女」です。この作品から名前をとった、城下町金沢の
素敵なライブハウスが「もっきりや」。ウッディで暖か
い内装、落ち着いた雰囲気、毎日立ち寄って Jazzy な
ひとときを過ごしたいお店です。

サルは地元で活躍するトリオ(岡本勝之b、中沢宏明ds、
藤井信彦p)との共演。今回のツアー中唯一、小編成バン
ドとのセッションです。演奏曲目は以下の通り。

1st Set
Stella by Starlight
Autumn Leaves
On Green Dolphin Street
My Foolish Heart
Never Be Another You

2nd Set
Ceora
Softly As in A Morning Sunrise
Bye Bye Blackbird
My One And Only Love
Blue Bossa
Yardbird Suite
Alone Together
Straight, No Chaser
(アンコール) A Night in Tunisia

今日のサルはフリューゲルホルンで勝負です。Autumn
Leaves と Bye Bye Blackbird でハーマンミュートのト
ランペットを聞かせた以外は、全曲フリューゲルを使用。
暖かくてダークな音色が心にしみ入ります。


<百万石トランペット・ナイト>
ギグのあとは、もっきりや恒例になりつつある「打ち上
げジャム・セッション」です。まずは藤井コマサ、高辻
美和の「モネ兄妹」が Candy を演奏。 平賀マスターが
ふるまってくださった氷見漁港直送の刺身盛りをいただ
きながら、サルは大喜びです。

2曲目の Saint Thomas では、神崎暁史、サル・クラキオ
ーロも加わって、トランペット4本のバトルが始まりまし
た。神崎氏は、本来テナーサックス奏者なのですが、ト
ランペットもなかなかの腕前です。こうして城下町の夜
は、闇をつんざくトランペット・ナイトと化したのです。

「ペーパームーン」へ会場を移して二次会。私はサルに
乗せられて、テキーラを一気飲みするハメになってしま
いました。まったくもって「きぐしねい」話です。

ほどよく酔いが回ってきたところで、シシリー島にルー
ツを持つサルにリクエストを出して、映画「ゴッドファ
ーザー」のテーマをトランペットで吹いてもらいました。
甘く哀しいメロディがしんみりと流れ、とても贅沢な時
間です。

おいしくて楽しい打ち上げは、天皇賞で勝った平賀マス
ターのおごりでお開き。ごちそうさまでした!




         サル通信 2003.5.5



<となみチューリップフェア>
となみ(砺波)は富山県西部に位置します。4月23日〜5
月5日の期間、つまりほとんどサルの日本公演と同じ期
間ですが、チューリップフェアが開催されています。400
品種、100万本のチューリップが咲き誇る花の祭典です。

一口にチューリップといってもいろんな種類があるので
すね。咲き方の分類だけでも、「枝咲」「フリンジ咲」
「ビリデ咲」「八重咲」「百合咲」「パーロット咲」な
どたくさんの形があります。色も、赤、黄、白、ピンク、
紫、まだらなど様々です。

サルは自然が大好きなので、咲き乱れるチューリップに
歓喜していました。さっそく花壇の中にしゃがみこんで、
「サルと花々」の写真なぞパチリパチリ。


<フィールド・ハラー・ジャズ・オーケストラ>
フィールド・ハラーは米国 Monterey Jazz Festival へ
2回、スイス Montreux Jazz Festival へ1回遠征し、昨
年は東京ディズニーリゾートで開催された Magic Jazz
Town / IKSPIARI 2002 にも出演した名門バンド。ゴール
デンウィークの外国人アーティスト共演も、今年で8回目
を数えます。

さて、フィールド・ハラーがサルと共演した曲目は以下
の通りです。

Soul Bossa Nova
(以下サルと共演)
A Train Mambo
Potatoe Blues
Alone Together
First Light
Just Platonic
Smoke Gets in Your Eyes
Hangin' with Herman
Serengeti
(アンコール)April in Paris
One More Time, One More Once

いつもながらゴキゲンなフィールドハラーの演奏に、サ
ルのトランペットが映えます。100万本のチューリップが
風にそよぐ中、華やかなコンサートとなりました。


<北陸健康センター・アラピア>
すっかり恒例となったアラピアでの打ち上げ。大広間で
畳に座ってやる、純和風の宴会です。ここまでほぼ毎晩
飲み会を経験してきたサルですが、今日のスタイルには
特別感激したようです。

アラピアは「13種のお湯めぐり」という入浴施設のある
健康センター。漢方励明薬湯、気泡風呂、冷水風呂、露
天岩風呂、うたせ湯、寝風呂、古代檜風呂など、いろん
なお風呂が楽しめます。

アメリカ人には公衆浴場へ入る習慣がないので、サルに
どうするかと聞いたところ、挑戦してみるとのこと。フィ
ールド・ハラーの面々と一緒に裸の付き合いです。

ゆっくりと風呂につかって、4月24日から1日も休まずに
続けてきた長旅の疲れを癒します。




         サル通信 2003.5.6



<洗足学園音楽大学横浜キャンパス>
洗足学園は、本格的なジャズコースがある日本では数少
ない音楽教育機関のひとつです。サル・クラキオーロ日
本公演の最後を飾るのは、洗足学園でジャズを学ぶ学生
へのトランペット・クリニックとビッグバンド・ワーク
ショップ。
洗足のビッグバンドは、普段は奥村晶先生がしておられ
ます。

前半のトランペット・クリニックでは、サルの日常的な
ウォームアップや練習について紹介しました。朝一番の
フラタリング、散歩での7歩吸気ー7歩保息ー7歩呼気、
ソフトなロングトーン、マウスピース・バズィング、ソ
ロのコピー譜を利用した初見読みの練習、クラシックの
デュオ曲を録音して一人で合奏する方法、マイナスワン
CDを使って即興演奏の練習などなど、多くの方法につい
て語りました。


<タイムが命>
後半のビッグバンド指導では、Alone Together、Smoke
Gets in Your Eyes、A Train Mambo の3曲についてアド
バイスです。

いずれの曲についても、サルが強調したのは「タイム」。
一流の演奏とそれ以外を分けるのは「タイム」であると。
すぐれたバンドは、メンバーの一人一人が自分の中にド
ラマーを持っている。つまり、実際のドラムがなくても
正確なタイムで演奏できるというわけです。

バラード曲では、自分の演奏の弱点もすべてがさらけ出
されるので非常に難しい。特に「タイム」を維持するの
が困難です。ですから、心の中で subdivide (分割)す
ることが大切とのこと。たとえば四拍子を四拍で数える
のではなく八拍で感じることで、より正確なタイム感を
出すということです。

タイムの悪いプレイヤーが、ラテンダンスを学んだら見
違えるようにいいタイム感で演奏できるようになった話
などを紹介しながら、身体の中に正確なタイム感覚を育
てることの重要性を繰り返し説きました。

サルが次々に出す指示に、洗足の学生は素早く反応しま
す。そして演奏がメリハリのきいたものに変化していく。
サルは、ソロを演奏したり、リード・トランペットに加
わったりして、たくさんお手本を示してみせました。


<サル、かえる!>
来日から13日に渡ってデイリーでお届けしてきた「サル
通信」も今日が最終回です。大阪、静岡、大田、名古屋、
神田、三鷹、赤坂、多摩、金沢、砺波、横浜と全国各地
で暖かく迎えていただき、感謝の極みです。

「今まで数多くのジャズフェスティバルに出演してきた。
カーネギーホールでも演奏した。グラミーを取ったアル
バムにも参加している。でも、今回のツアーは、間違い
なく自分の音楽人生におけるハイライトのひとつだ。ど
のバンドもみな素晴らしい。音楽を楽しんでいる。そし
て、すごく sweet な人たちだ。たくさんの貴重な体験と
sweet memories をありがとう」

何度も何度も、サルはこんな感謝の言葉を口にしました。
みなさん、本当にありがとうございました。サルは、5月
7日成田空港からロサンゼルスへ帰国します。「Pinguの
タオル」6枚をお土産として買い込んで・・・。




      サル通信 2003.5.8 〜おまけ〜



<サルの恩返し>
ロサンゼルスへ戻ったサルから、さっそく以下のような
メールが届きましたのでお送りします(拙訳を添えまし
た)。みなさま本当にお世話になりました。

ワールド・プロジェクト・ジャパン 黒坂洋介


To Yosuke and All Bands,
 ヨウスケへ、そしてすべてのバンドへ

First of all, I would like to thank all the band
leaders and musicians of all the bands I played
with.
 まず、私が共演したすべてのバンドリーダーとそのメ
 ンバーに対して感謝の気持ちでいっぱいです。

It was great to see old friends and wonderful to
make new friends.
 旧友に再会できたことも喜ばしいけれども、新しい友
 達ができたことは本当に素晴らしいです。

I have to tell you the hospitality and warmth that I
felt from all of you is a memory I will always
cherish.
 私がしていただいた暖かいおもてなしは、ずっと大切
 な思い出となることでしょう。

It is truly one of the highlights of my musical life
to share a stage with some of the sweetest people
I've ever encountered.
 これまでに出会った中でもっとも素敵な方々とステー
 ジをともにできたことは、私の音楽人生におけるハイ 
 ライトのひとつであることは間違いありません。

The Japanese audiences as well, were just so warm
and appreciative.
 日本のお客さんもまた、たいへん暖かく、鑑賞力の高い
 方々でした。

And to see such a beautiful culture in their love of
life and music is something I will always be very
grateful and respectful for.
 このように人生および音楽を愛する人々の素敵な文化
 に接したことを、私はいつも嬉しく思い出しまた尊敬
 することでしょう。

I am so happy that I got to share this moment in
time with you.
 みなさんと一緒に過ごせた素晴らしい時間の幸せを、
 しみじみとかみしめています。

But most of all, I'd like to thank Yosuke for making
the whole thing happen.
 しかしなによりも、これらすべてのことを実現してくれ
 たヨウスケに感謝したいと思います(黒坂註:いやあ、
 そんな、てへへ)。

We will meet again.
Respectfully yours,
Sal "Pingu" Cracchiolo
 またお会いできることを夢見つつ。
 敬具
 サル「ピングー」クラキオーロ

投稿者 kurosaka : 2004年3月15日